ダ・ヴィンチ作「岩窟の聖母」に隠された絵、X線走査と新アルゴリズムで解明

Rae Hodge (CNET News) 翻訳校正: 編集部2020年02月05日 10時36分

 レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「岩窟の聖母」は、500年にわたって研究者や崇拝者によって研究されてきたにもかかわらず、まだ知られざる秘密がその中に隠されていたことを、インペリアル・カレッジ・ロンドンとナショナルギャラリーの科学者と芸術学者が発見している。研究者らはX線走査と新しいアルゴリズムを使った調査によって、天使や幼子のキリストなど、レオナルド・ダ・ヴィンチが最初にキャンバスに描いた隠された絵を明らかにしており、このほどその手法を詳しく説明した。

ダ・ヴィンチ作「岩窟の聖母」と明らかになった下絵部分
ダ・ヴィンチ作「岩窟の聖母」と明らかになった最初の絵
提供:Imperial College London

 ナショナルギャラリーの研究者らは既に、赤外線イメージングによって絵画の下絵の一部を発見していた。その後、この取り組みを基に、マイクロ蛍光X線分析法(MA-XRF)という非侵襲的な方法で絵画を走査し、絵画の各ピクセルを慎重にチェックすることで、ダ・ヴィンチが使用した画材の中の異なる化学物質(亜鉛など)を検出。インペリアル・カレッジ・ロンドンのPier Luigi Dragotti教授は、その膨大な量のデータをふるい分けるためのアルゴリズムを開発した。

 「各ピクセルはそれぞれ複数の層からなり、含まれる各元素の量がそれぞれ異なる。各ピクセルを個別に分析してから、それらをつなぎ合わせることで絵画の下絵全体を明らかにした。これによって、天使や赤子の絵がはるかに鮮明に浮かび上がった」と、Dragotti教授は現地時間2月4日の声明で述べた。


 複数の手法が組み合わされたこの新しい絵画分析方法により、同じように隠された他の絵もこれまでよりも格段に容易に復元できるようになり、芸術に関するデータにアクセスする手段を学生やギャラリーにもたらす可能性があるという。

 「岩窟の聖母」は、ロンドンのナショナルギャラリーで展示されている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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