Facebookが「ビッグブラザー」を演じたがっていることはよく知られている。ユーザーの個人情報を収集し、共有し、利用することで、同社の創業者で最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏はおよそ800億ドルの財を成した。だが、あなたは知らないだろう。Facebookとその仲間たちが、Facebookを使っていない間もあなたのデータを大量に集めていることを。Facebookが先頃「Off-Facebook Activity」(OFA、日本では「Facebook外のアクティビティ」)ツールを公開したお陰で、Facebookとその仲間たちがわれわれの何を知っているのかが、全てではないにせよ、これまでよりは明らかになった。
FacebookはOFAを、ユーザーが自分の個人データを管理しやすくするためのツールだと説明するが、実際にはもっとダークなものだ。Facebookのユーザーデータの収集と利用に対する追及はゆっくり強まっていった。全ての始まりは、Facebookがユーザーデータを政治コンサルティング会社のCambridge Analyticaと共有していることが明るみに出たことだ。Cambridge Analyticaはユーザーデータを使って大統領選でDonald Trump氏を支援した。Facebookはこのことを知らなかったと主張した。だがその後、Cambridge Analyticaの行為が公にさらされる前からFacebookはこの件を知っていたことが判明した。
このことがあってから、また、他のSNSによるプライバシーとセキュリティの侵害もあって、「カリフォルニア州消費者プライバシー法」(CCPA)ではFacebookなどの企業に対し、収集および共有するユーザーデータについて詳細を明らかにすることを義務付けるようになった。つまりFacebookには、ユーザーデータの扱いについてクリーンに(少なくともそれまでよりはクリーンに)なる以外に選択肢がなかったのだ。
例えばユーザー名などの自明な情報に加えて、「Facebookピクセル」、「Facebook SDK」、「Facebookログイン」、「Account Kit」などの一連の「Facebookビジネスツール」を使う企業が、これらのツールを駆使して集めたあなたの情報をFacebookと共有している。あなたのどんなアクティビティを追跡しているのかをリストアップしておこう。
あなたはFacebookを使いながら、気前良く自分のプライバシーを大放出しているのだ。
電子フロンティア財団(EFF)によると、Facebookは上位1万のウェブサイトの30%で訪問者を追跡しているという。私自身のアカウントの場合、Facebookとそのパートナー企業は、過去180日間に私が利用または訪問した955ものアプリとウェブサイトから私に関するデータを集めていたことが分かった。例えば、うちのスマートドアベル「Ring」をチェックした回数、チケット売買サイトStubHubでプロバスケットボールのチケットをチェックしたこと、私が新居を探してオンライン不動産情報サイトのZillowを頻繁にチェックしていることなどだ。そしてもちろん、私が毎日訪問する数十件のウェブサイトについてもだ。
それは氷山の一角にすぎないようだ。もう少し掘り下げれば、Facebookがそれを認めていることが分かるだろう。
技術上や精度上の理由から、受信したアクティビティの一部は表示されません。例えば、利用者がFacebookにログインしていないときに受信した情報や、利用者が過去に同じデバイスでFacebookを使ったことをFacebookが確認できないときに受信した情報があります。利用者がショッピングカートに追加したアイテムなどの詳細も表示されません。
まず、Facebookがあなたのデータを削除したり、収集を停止したりすると期待するのはやめよう。確かにFacebookでの自分の履歴をクリアすることはできるが、それでデータが削除されるわけではない。Facebookは「アクティビティ履歴があなたのアカウントから切断されます。将来あなたが訪問する企業や組織でのあなたのアクティビティは引き続き受け取ります」と説明しているのだ。
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