ミクシィならびに、一般財団法人アスリートフラッグ財団は2月5日、アスリート・チームへの新しい応援のカタチをコンセプトとした、スポーツギフティングサービス「Unlim」(アンリム)を、2月19日にサービスを開始すると発表した。
これは、応援しているスポーツアスリートやチームに対し、ファンがギフティング(寄付)を通じて支援できるサービス。ファンは、Unlimを通じてアスリートフラッグ財団にギフティングをすると、アスリートやチームに応援ポイントを贈る事ができる。アスリートフラッグ財団は、贈られた応援ポイントなどを参考に、ギフティングされた金額を原資として、ファンからの寄付受付金額の67~83%を、各アスリート・チームに支援金として支払うという。
また、メディアとの協業も行う。協業先となるメディアにおいて、Unlimに登録しているアスリートやチームに関する記事が掲載されると、記事の文末に「Unlimボタン」を設置。Unlim公式サイトと同様に、アスリートやチームを応援することができるという。協業先メディアを経由してギフティングされた場合は、ギフティングされた金額の一部を協業先メディアに分配。さらに、公益スポーツ団体などにギフティングされた金額の一部(3%)を寄付するとしている。
アスリートフラッグ財団は、登録アスリート・チームの審査や資金などの管理について、公平性ある立場で運営することを目的として設立。プロバスケットボールリーグの千葉ジェッツふなばし代表取締役会長の島田慎二氏が理事として就任するほか、財団の役員には、スポーツ界の著名人が就任するとしている。
同日に発表会が行われ、ミクシィ代表取締役社長の木村弘毅氏は、Unlimの背景を説明。アスリートやスポーツ団体における活動資金に課題があることを指摘する。遠征費の捻出や、スポーツ選手を目指したり活動するなかでも、家庭や生活の事情で断念せざるを得ない状況が起きていること、そしてこうした状況の改善を目的としていると説明した。
個人などから資金を集う方法としてはクラウドファンディングも知られているが、登録やプロモーションなどの周知、リターンの用意など手間がかかることも多く、負担が大きいことを指摘。Unlimについては、登録にあたっての条件や審査はあるものの、24時間以内には登録が完了できるなど、簡単に始められることのメリットも語った。
発表会では、前述した島田氏のほか、現役プロボクサーでWBA世界ミドル級王者の村田諒太選手、元プロ野球選手の里崎智也氏も登壇。それぞれの立場から資金的な課題について語った。
島田氏はクラブチーム経営者の立場から、取り巻く状況にはさまざまなシチュエーションがあるとしながらも、立ち上げ期や成績が振るわなくなると厳しい状況になると指摘。主だった収益源としてスポンサーやチケット収入、ファンクラブ、グッズ販売といったものを挙げつつ「それだけでは限界があり、ブレイクスルーができないクラブもたくさんある。そこにダイレクトに選手やクラブに対して、経済的に応援できる新しい仕組みが上手く普及することで、クラブ経営の安定や、日の目を見ないアスリートが活動できる状況になれば」と語る。
村田選手は、これまで自身よりも才能のあると感じた選手は多く存在していたと振り返る。一方で、資金的な問題で続けられない選手も多いことも指摘。1試合でもらえるファイトマネーもチケットの売り上げに左右され「上手くいかないと5~10万円。1年間にできる試合数も2~3回。その状況に我慢しきれない選手が多い」と語り、収入源がアルバイトになっている実情を話す。このような環境下ではボクシングを継続できずに才能を無駄にしてしまった選手もいるとし、こうした現状を打破したいと話した。
里崎氏は、プロ野球選手における選手生命の短さとセカンドキャリアの課題を語った。プロ野球選手はお金に困っていないようなイメージもあるとしながら、高年俸の選手はそのなかでもごく一部と指摘。そのなかで、いかに資産を残しつつ、引退後のセカンドキャリアを進んでいくのかが大事と説く。特にプロ野球選手は、年俸以外の副収入はないといっていいという状況のなか、新たな資金を得られる環境があることは、セカンドキャリアの面において、かなりのアドバンテージが得られると語った。
また里崎氏は、チームにおける資金力とその格差を指摘し、ファンが応援の声だけではなく資金面でサポートすることで、格差を覆すぐらいに、チームをファンの力で育て上げるといった可能性もあると、期待を寄せていた。
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