Appleは2020年、米国ネバダ州ラスベガスで開催されるCESにセキュリティ、プライバシーのアピールに参加する。2019年はCESが開催されるラスベガスの街に掲出する屋外広告で話題になったが、2020年も年明けから動向に注目が集まりそうだ。
CNET Japanでは、毎週、アップル関連のニュースを定点観測してお届けする「Appleニュース一気読み」をお届けしている。2020年初頭に、1年の定点観測を行う上での注目ポイントについて考えていこう。
2019年を振り返ると「iPadイヤー」だったと言える。まず、iPad Pro以外の製品全てにアップデートがあった。3万4800円(税別)という価格で販売される第7世代iPadは、Apple Pencilに続きSmart Keyboardをサポートした。ディスプレイは9.7インチから10.2インチに拡大され、A10 Fusionプロセッサのメモリも3GBに増加し、2019年に登場したPhotoshop CC、iMovieでの4K動画編集にも対応する性能を維持している。
また、A12 Bionicプロセッサを採用したミドルレンジのiPad AirとiPad miniは「基本的にはこれを選んでおけば向こう4~5年は対応できる」という製品となった。7.9インチが維持されたiPad miniはApple Pencil対応、iPad Airも10.5インチへ拡大し、Apple Pencil・Smart Keyboardの双方をサポートした。
加えて、2019年6月の開発者会議WWDCでは、iPadOS 13が登場した。基本的にはiOS 13から派生させたブランディングという位置づけだが、それでもSafariがMacと同じように振る舞うことでウェブアプリを大幅にカバーしたほか、USBメモリなどの外部ストレージへの対応、マウスのサポートなど、これまでiPadでできなかった「PCらしいこと」をかなえるソフトウェアとなった。
このように、2019年は、iPadが「コンピュータを代替する」というマーケティング上のゴールに向けて大きな前進をした1年であり、製品群としてもハイエンド以外の製品が充実した。
特にミドルレンジを構成するiPad Air、iPad miniは久しぶりの刷新となったが、最も価格の安いiPadは毎年刷新されており、今後iPad Air、iPad miniも毎年新モデルを登場させるサイクルに乗るかどうか注目している。
もし2020年に刷新されることになるなら、iPhone 11に搭載していたA13 Bionicチップの搭載によって性能を引き上げるほか、Wi-Fi 6やUWB(超広帯域通信)など通信周りの刷新を行うことになるのではないだろうか。
2019年に更新されなかったiPadシリーズにiPad Proがある。iPad Proは2018年にMacBook Air、Mac miniとともに現在のデザインへと発展した。
11インチ、および12.9インチの縁なし液晶「Liquid Retina」を採用し、ホームボタン廃止、Face ID対応のためのTureDepthカメラ搭載という、2017年のiPhone X以降のフォームファクターを初めてiPadに取り入れた製品となった。おそらく他のiPadラインアップも、iPhone Xの仕様へと近づいていくことが予測できるが、当面はiPad Pro向けのデザインとして扱われるだろう。なお、iPhoneより先行したとみられるのが、よりシンプルなアルミニウムの造型だ。
iPad Proは「角を落としたアルミニウムの板」という表現以上に言い表せないほど、シンプルな形になった。側面は垂直にせり上がり、6mmに満たない幅にワイヤレス充電の仕組みを搭載して第2世代となった新型Apple Pencilを磁石でくっつけることができるようにした。
従来のiPhone、iPadのように側面に丸みを持たせると、Apple Pencilをくっつける上で問題が起きることからこのデザインが採用されたと見ることができるが、もしもiPhoneがApple Pencilをサポートするなら、iPad Pro的なフレームデザインへ落ち着く可能性がある。
2019年10月末に行われたAppleの2019年第4四半期決算の電話会議で、MacBook Pro、iPad Proについては、「必ずしも年次刷新するわけではない」と明かしたことから、2019年中のiPad Proの刷新がないことが分かった。
しかしiPad Proはソフトウェア面で大きな変化を遂げた。iPadOSの登場、クリエイティブ定番アプリのAdobe Photoshopや、Adobe AeroのようなARデザインアプリが登場し、iPad 1枚だけで独自のARコンテンツを制作できるところまできた。
そうなったときに、現状のiPad Proのデザインを引き継ぎつつ進化するポイントとしては、カメラになるかもしれない。
たとえば、iPhone 11と同じように、超広角・広角の2つのカメラを搭載すれば、iPadとして初めてポートレートモードに対応し、また写真や動画を撮影する際、フレームから外れていた外側を含める編集への対応となれば、タブレットとして最もカメラ性能に優れた製品になるだろう。
iPadシリーズは今後も、低価格帯、ミドルレンジ、ハイエンドの3つのターゲットを維持しながら、特に2020年はハイエンドモデルの刷新に力を入れることになりそうだ。しかしいずれのモデルも、単体でPages・Numbers・KeynoteといったAppleのiWorkアプリを手軽に利用でき、Microsoft OfficeやAdobeアプリを快適に利用できる点を武器にしていくことになる。
もう一つ個人的に期待する未来は、ARMベースの新しいデバイスだ。iPadのマルチタッチスクリーンをベースに、ペンシルやキーボードを拡張してより自由なシステム構成を実現している。しかしそろそろより本格的なキーボードをセットしたiPadOSデバイスが登場してもよさそうだ。
というのも、特に日本では、iPadに組み合わせるSmartKeyboardは1万7800円~2万2800円(税別)という値札が付いており、かなり割高感がある。オプション扱いのキーボードをはじめから本体に取り込んだ新しいデバイスは、iPad以上にプログラミング教育の現場でも活躍するかもしれない。
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