最新技術のエンタメ施設「MAZARIA」秘話--“VR”ではなく“遊園地”のイメージ狙う - (page 3)

ファミリー層が増加、パスポート導入は“一日遊べる場所”のメッセージ

——実際に開設してからはいかがでしょうか。実は8月にイチ個人として行ったのですけど、日中はファミリーでいらっしゃる方がすごく多くて、VR ZONE SHINJUKU時代から明らかに客層が異なる印象を持ちました。

小山氏 :夏休み時期は確かにそうでした。休日はファミリーが多いですね。VR ZONE SHINJUKU時代は休日でも数パーセント程度でしたけど、MAZARIAにしてから20%ぐらいはファミリーになりました。

田宮氏 :サンシャインシティの場所柄、訪れる方の構成比がファミリーが圧倒的ですし、相互入場ができる下の階にあるナンジャタウンも、ファミリーでいらっしゃる印象が強いです。そもそも「サンシャインに来たから何で遊ぼうか」という動機でファミリーとしていらっしゃるので。そこは歌舞伎町と明確に違うところですね。

小山氏 :マリオカートVRの対象年齢も下げまして(※10月に13歳以上から7歳以上へと引き下げ)、ファミリーで遊んでくれるようになってくれたのも嬉しいことです。

——スタッフによるアテンドでも、説明時に流れる映像がかなり詳しくなっていたり、自分でVRゴーグルを装着するようになっていました。もともとオペレーションなど、スタッフにかかる人件費の運用コストも課題となっていましたが、ここの改善も進めているのでしょうか。

田宮氏 :VR ZONE SHINJUKU時代は、装着やキャリブレーションからアテンドしていたり、緊急停止の対応もそれぞれにスタッフが張り付いている状態でしたが、環境やソフトで対応できるところはそうしてます。VRゴーグルの装着も、1、2回経験すれば自分で付けることができる状態になると感じてますので、ある程度お任せにして大丈夫かなと。

 この先は、席へと案内したらスタートボタンを押せばいいというところまでもう一段階進めようとしてます。もし具合が悪くなったら、VRでは「終わるまで目を閉じていてください」とするだけでも違いますし。「恐竜サバイバル体験絶望ジャングル」(恐竜サバイバル)と「極限度胸試しハネチャリ」は、ガイドしないと迷ってゴールまでたどり着けない方もいらっしゃったのですが、自力でちゃんとたどり着けるようにソフト面をバージョンアップする予定です。(来場者が)体験しているうちは、スタッフの方が離れていても大丈夫な形までできればと。冬休み時期には、そのような運用を試してみたいと考えています。

小山氏 :そもそも恐竜サバイバルは、ゴールまでたどり着ける方がほとんどいなかったのです。当初からゴール後のシーンにも注目してもらいたかったぐらい、一番“おいしい”シーンにも関わらず、なかなか見られませんでした。ソフトのバージョンアップではほとんどの方がたどり着けるようになると思います。

「恐竜サバイバル体験絶望ジャングル」
「恐竜サバイバル体験絶望ジャングル」

——海外からの来場者はいかがでしょうか。VR ZONE SHINJUKU時代の平日日中は、海外からの観光客が特に多かったと記憶しています。

田宮氏 :これは明らかに減りました。実はVR ZONE SHINJUKU時代、広告やプロモーション施策をしなくても、海外の方がたくさん来てくれたのです。それは、東京において海外からの観光客が集まる場所は新宿が圧倒的で、そのなかの筆頭が歌舞伎町なんです。池袋は新宿の3分の1程度で、それがそのままMAZARIAでも減った感じです。

 VR ZONE SHINJUKUにも決め打ちに来たのではなく、歌舞伎町に来て「この施設はなんだろう」と思って入った方が多いと推測されます。MAZARIAはこの立地ですから、偶然海外の方が発見するという可能性が低いと。施設自体は海外の方に受け入れられるものですので、情報がちゃんと届くようにプロモーション施策を展開していくことを考えています。

小山氏 :VR ZONE SHINJUKUにおける平日の外国人比率は、見た目の印象でも5割以上はいらっしゃって。技術を駆使した他のエンタメ施設も、平日はだいたい同じようです。MAZARIAではカップルでの平日来客が徐々に増えていますが、どうしても普段は仕事や学校がありますから、日本人の集客が難しいところはあります。

田宮氏 :VR ZONE SHINJUKUの平日は、海外からの方で成り立っていたぐらいの勢いだったので、平日の集客はMAZARIAの課題ですね。

——チケット制だけではなく、遊び放題のMAZARIAパスポートも導入しました。

小山氏 :パスポートの導入は「一日中遊べる場所」ということを伝えたかったからです。それによって遊ぶ場所の候補に入れやすくなると考えています。休暇をどう過ごすかあれこれ考えると思うのですけど、一日中遊べる場所ならば「MAZARIAに行こう」と設定するだけで一日の計画が決まるので。

——パスポートになったことの変化はありますか。

田宮氏 :パスポートですごく遊ばれるようになったアクティビティがいくつかあるのですが、劇的に変わったのは「釣りVR GIJIESTA」(釣りVR)と「巨大風船爆発ルーム パニックキューブ」(パニックキューブ)。この2つが筆頭ですね。

小山氏 :この2つはパスポートにしたことと、そしてファミリー層が来るようになったことも相まって、すごく人気になりました。パニックキューブは、風船がすごい勢いで無くなっていきました(笑)。VR ZONE SHINJUKUのときは全然だったのですけど……。

「巨大風船爆発ルーム パニックキューブ」
「巨大風船爆発ルーム パニックキューブ」

田宮氏 :リピート性があるからかもしれないですね。「悔しいからもう一回」「もうちょっとでうまくいく」という要素を持っているのが釣りVRとパニックキューブかと。これはMAZARIAだけではなくて、VR ZONE OSAKAのパスポート化でも一緒ですし、大阪に「VS PARK」という、テクノロジーを活用したスポーツ体験施設もあるのですが、そこでもパニックキューブは屈指の人気です。

小山氏 :謎解きはリピートしやすい要素を秘めていると実感しています。

——MAZARIAでは、外壁のLEDパネルで映像を流していますが、往年のナムコゲームなどドットテイストで表現しているのが印象的です。

エントランスにあるLEDパネルの映像(7月の内覧会時に撮影したもの)
エントランスにあるLEDパネルの映像(7月の内覧会時に撮影したもの)

小山氏 :そこはまず、LEDパネルの設置が先に決まっていた感じですね。そのあとで映像をどういったものにするか考えたのですが、単純にアクティビティのCGを流すと、リアルなCGほどパチンコ屋っぽく見えてしまう印象があったんです。アニメとゲームに入る場所とうたっているので、あえてドット絵を中心にしたものがいいかと思ったのです。幸い映像制作を担当した会社さんには、往年のナムコキャラ大好きという方が多く、こちら側でも趣味でVJをやるようなスタッフがいたので、みなさんのセンスを全開にした内容になっています。

田宮氏 :関心を持ってもらうための映像としては、この形でありだと思っています。一方で、今後はMAZARIAはどういう遊びや楽しみができる場所なのかを説明するような映像も織り交ぜていくのもいいかなと考えています。

——アリーナを使った「CG STAR LIVE」のほうも、今は「ST☆RISH SECRET PARTY!」の再演を行っていますが、こちらの展開はいかがでしょうか。

小山氏 :再演は安定した人気を集めています。少し前に、CG STAR LIVEとは違うものとなりますが、「ゾンビサバイバルゲーム ハード・コール」をテーマとして、実際にゾンビが目の前に登場するといった、現実世界で体験できる劇場型リアルホラーアクティビティも実施しました。CG STAR LIVEも含めて、アリーナの空間を活用したコンテンツ、新しい体験を提供する試みは続けていきます。

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