——今回MAZARIAという形で名前を変えました。お話にもありましたけど、これまで展開していたVR ZONEのブランドをそのまま使わなかったのはなぜでしょうか。
小山氏 :一言で言うと、“VR”の言葉だけではもう目新しさがなく、この先新しいお客さんを連れてくるのが難しいと考えたからです。
VR ZONE SHINJUKUでは、VRのような最先端のことに興味のある方や、いわゆる“リア充”層をターゲットにしていました。開設当時はその狙いで間違ってなかったですが、特に首都圏では状況が変わっていると思ってます。最先端のことに興味のある方は、一度体験すれば満足してしまって、新作が無い限りリピーターになりにくいんです。
2018年ごろからVRの言葉に対する認知度はかなり高くなって、すでに90%ほどあるのですが、実際にロケーションVRを体験しているのは、およそ5~6%程度です。VRが目新しかったときにさまざまなメディアに取り上げられて言葉の認知は進みましたが、「VRってこんな感じでしょ」という“知った気になっている”状態で、そうなるとわざわざそこに行く理由がない、つまり「行かない」という判断になって終わってしまうんです。
VR ZONE OSAKAがある関西圏で、VR ZONEは知っているけど来場したことがない方々に、グループインタビューもしたんです。そこで感じたのは、VRという言葉を知っているというだけの状態だと、VR ZONE OSAKAが何であるかは説明できないんです。例えば、「遊園地」や「動物園」だと、どういう施設かわかりやすいと思うのです。でも、説明ができないような施設は、そもそも遊びに行く場所の候補に挙がらず、選択肢に入ってきません。
そしてマインドマップも書いてもらったのですが、VRが最先端のものというイメージから「最新のゲームが楽しめる施設」「ゲームセンターの進化版」ととらえられていたんです。そういう認識になっていると、ゲームは難しいものと思っていたり、ゲームセンターに興味のない方からは「自分向けの場所ではない」となります。特に女性の方は、今でもゲームやゲームセンターに対する抵抗感があります。そうなると、「VRは何となく知っているけど、行かない」となるわけです。
ただ、そういった方にVR ZONEのPVを見せたところ、好意的な印象を持ってくれたんです。友だちやカップルではしゃげる場であることに共感してもらったり、ゲームが苦手でもマリオカートやドラゴンクエストは話が別で、そういったコンテンツでワイワイとできることを知ると、食いつきが違いました。
こうしたことを考えると、VRという言葉だけを知っている方に遊びに来てもらうには、アトラクションがたくさんあって、友達やカップルがはしゃげる遊園地のような場所と思ってもらう必要があると。それを踏まえてVRを付けず、VR ZONEを外したほうがいいという判断をしたのです。
田宮氏 :首都圏でVRに興味のある方は、あらかたVRアクティビティは体験していただいたと思います。また、VR ZONE SHINJUKU時代でもリア充層の方にも来ていただきましたが、一度体験していただくと、すごく満足していただけましたし、みなさんワイワイと楽しまれていました。なので、行きつくところ「VRは体験しないとわからない」というVR特有の課題になるのですけど、施設においては、どうやって興味を持ってもらい、さらに来店するところまで持っていくかが課題で、MAZARIAはチャレンジのひとつとなります。
小山氏 :遊園地のような場所というイメージを持ってもらいたいと思っても、それだけでは漠然としているので、「アニメとゲームに入る場所」というキャッチコピーにして、非日常が体験できる場所であることを伝えたかったのです。
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