インターネットイニシアティブ(IIJ)は12月25日、農業IoTへの取り組みの一環として、水田の水管理を省力化する水田水管理IoTシステムを開発し、主に大規模な水田を保有する農家や農業共同経営体(JA)を対象に販売を開始すると発表した。
同社によると、日本の農業は、平均年齢が65歳を超える一方、経営の大規模化が進み、農作業の効率化、省力化は大きな課題になっているという。その中で農林水産省を中心として、ICT技術を活用する「スマート農業」を普及させる取り組みが全国各地で急速に進みつつあり、2019年から始まった「スマート農業加速化実証プロジェクト」では、全国69地区において、先端技術を活用し、生産から出荷までを一貫して管理する体系を確立するべく、官民一体となった取り組みが進んでいる。
同社は、2017年から農研機構生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」の支援を受け、水田の水管理の省力化を可能とする低コストなICT水管理システムの開発を推進。静岡県磐田市、袋井市での3年間の実証実験を経て、長距離(約1〜2km)の通信を可能とする無線方式LoRaWANに対応した安価な水田センサーの開発を成功させた。
同システムでは、その水田の水位と水温を測定するLoRaWAN対応のIoTセンサー(10台)に加え、取得したデータを無線経由でクラウドに蓄積し遠隔からスマートフォンで確認できる無線基地局(1台)、スマートフォンでデータを閲覧するための専用アプリケーション(3年間の利用料)、センサーとデータを集積するクラウド間の通信料(3年分)をパッケージにしたスターターキット「水管理パックS」として販売する(販売元は住友商事)。
なお、笑農和が開発した圃場の水量を自動制御する給水バルブを利用して水管理を行うことで、水田の水管理にかかる作業時間などコストを大幅に削減可能だという。
受注はすでに開始しており、2020年3月より提供を開始する。販売価格は39万8000円(税別)。
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