苦境が続いた「楽天」の2019年--携帯参入で相次ぐトラブル、ヤフー・LINE統合の脅威も - (page 2)

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計画の甘さを見極められなかった総務省にも責任

 サービス開始後も楽天モバイルの問題は続いた。開始当初より、契約者への端末到着が遅れる、電波環境の悪いところではSIMが開通できないなどのトラブルが続いた上、そうしたトラブルをチャットサポートに問い合わせようとしてもつながらないという事象が多数発生。不満の声が相次いだ。

 さらに、2019年12月に入ると、無料であるはずの無料サポータープログラム会員に対し、楽天モバイルから請求書が届くなど誤請求が相次いで発生したほか、楽天モバイルの携帯電話事業の内容とみられるウェブページが、検索サービスのキャッシュから閲覧できる状態になっていたことも判明。「50GBで月額900円」などといった料金が白日の下にさらされたことで、同社はその説明にも追われることとなった。

 そして極めつけが、2019年12月10日に楽天モバイルのネットワークに障害が発生し、約3時間接続できない状態に陥ったことである。試験サービスに近い内容といっても、楽天モバイルはすでに商用サービスを提供していることに変わりはなく、ソフトバンクが2018年末に大規模な通信障害を発生させたことが社会問題にも発展したことを考えれば、これだけ長時間の通信障害は非常に大きな問題だ。

楽天のネットワーク障害が発生した2019年12月10日、偶然楽天モバイルの端末を借りていたので撮影したスクリーンショットの一部。10時過ぎ頃にアンテナピクトが圏外状態となり、一切通信できない状態がしばらく続いていた
楽天のネットワーク障害が発生した2019年12月10日、偶然楽天モバイルの端末を借りていたので撮影したスクリーンショットの一部。10時過ぎ頃にアンテナピクトが圏外状態となり、一切通信できない状態がしばらく続いていた

 これを受けて同社は、総務省から4回目の指導を受けているが、わずか1年で4度の行政指導というのは携帯電話事業者として異例と言わざるを得ない。なぜ、ここまで楽天モバイルが新規参入で混乱しているのかというと、やはり参入に向けた準備時間が明らかに足りていないことが大きいだろう。

 楽天モバイルは、携帯電話事業の実績がないにもかかわらず、免許申請時に提示した内容を遵守するべく、4Gの電波免許割り当てが決まってから、1年半のうちに商用サービスを開始する必要があった。これだけ短期間のうちに、全面的にNVFを採用したネットワークを構築しながら、サービスやサポートの体制も整え、長年サービスを提供している携帯3社に正面から対抗できる体制を作り上げるのは、さすがに無理があるというのが正直なところで、強気の姿勢が裏目に出たと言わざるを得ない。

 一方で、ある意味、楽天モバイル側もそうしたギリギリの状況下で、何とかここまでやっているという印象も受ける。無料サポータープログラムに落選した筆者は、楽天モバイルのエリアカバーについて利用者に話を聞いたり、利用者から端末を借りて試したりしているが、KDDIとのローミングによる効果が大きいとはいえ、データ通信に関しては大きな不満はなく利用できることの方が多いというのがその理由だ。もう少し準備が整った上で参入できていれば、評価は大きく違っていたかもしれない。

東京23区内で楽天モバイルの回線に対応したスマートフォンを使っている所。楽天モバイルが使っている1.7GHz帯(Band 3)をつかんでいることが分かる
東京23区内で楽天モバイルの回線に対応したスマートフォンを使っているところ。楽天モバイルが使っている1.7GHz帯(Band 3)をつかんでいることが分かる

 それだけに楽天モバイルのつまずきには、そうした申請内容で電波免許を割り当て、参入を認めてしまった総務省にも責任があるといえよう。総務省、ひいては行政は、新規参入事業者として名乗りを上げた楽天モバイルが、通信料の低価格競争を加速し、菅義偉官房長官などが強く求めている通信料値下げをけん引する存在になるのではと強い期待を寄せていた節があり、それが楽天モバイルに対する評価の甘さに結びついてしまったのではないだろうか。

 総務省が今後、楽天モバイルを大手3社と肩を並べる存在にしていきたいのであれば、基地局設置のスケジュール延期を認めたり、4Gの周波数帯をより多く割り当てたりするなど、さまざまな優遇策をとる必要があるだろう。それができないのであれば、2020年も楽天モバイルは厳しい状況が続くのではないかというのが筆者の見方である。

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