米人権団体、アップルら5社を提訴--コバルト鉱山で児童労働

Carrie Mihalcik Shara Tibken (CNET News) 翻訳校正: 湯本牧子 高森郁哉 緒方亮 (ガリレオ)2019年12月18日 11時34分

 米国の複数のテクノロジー企業が、コンゴ民主共和国の子供たちが採掘したコバルトから利益を得ているとして非難されている。非営利団体のInternational Rights Advocatesは米国時間12月16日、コンゴでのコバルト採掘中にトンネルや壁が崩壊して死亡または重傷を負った子供たちの保護者である原告14人を代表して、ワシントンDCの米連邦地方裁判所に提訴した。訴状で挙げられている被告は、Apple、Googleの親会社であるAlphabet、Microsoft、Dell Technologies、Teslaだ。

コンゴ民主共和国の採鉱場でコバルトを袋に詰める採掘者
コンゴ民主共和国の採鉱場でコバルトを袋に詰める採掘者
提供:Sebastian Meyer/Getty Images

 コバルトは、スマートフォンやノートPC、タブレットPCに搭載されているリチウムイオン電池に加え、電気自動車で使われているバッテリーの生産でも極めて重要な原料だ。コバルトの世界産出量の約60%はコンゴ産であり、アムネスティ・インターナショナルが2016年にまとめた報告によると、そのうち約20%は児童を含む現地労働者によって手掘りで採掘されているという。

 原告の弁護団で調査を担当したSiddharth Kara教授は15日、「この訴訟は、コンゴにおけるコバルト採掘の劣悪な環境を数年にわたり実施してきた調査の集大成だ」と述べた。

 Appleは17日、原材料の責任ある調達に「尽力」しているとして、同社が確認したコバルト精製所のリストを毎年公開しており、「その100%が、独立した第三者の監査に参加している」と述べた。

 Appleの広報担当者は電子メールで次のように述べた。「精製所が当社の基準を満たせないか、満たそうとしない場合は、当社のサプライチェーンから外される。2019年には6カ所のコバルト精製所を外した」

 Dellは訴状の内容について調査中であり、責任ある鉱物調達に尽力しているとした。

 「当社はいかなる形であれ、強制労働や詐欺的人材募集、児童労働を使った事業を、そうと知りながら利用したことはない」とDellの広報担当者は電子メールで述べ、「不正行為が報告されたサプライヤーは調査され、もし不正行為が見つかった場合は当社のサプライチェーンから除外される」とした。

 Googleも17日、同様のコメントを寄せ、同社のサプライヤー向け行動規範では児童労働や児童に危険が及ぶ行為を「厳しく禁止している」とした。同社の広報担当者は電子メールで「当社は全ての材料を倫理にかなった方法で調達し、グローバルなサプライチェーンから児童による採掘を排除することに尽力している」と述べた。

 訴状に記されたこれ以外の企業は、コメントの依頼にすぐには応じなかった。

Appleの取り組み

 テクノロジー業界は長年にわたり、製品に必要な部品の入手と責任ある供給の確保に苦労してきた。電子機器に欠かせない多くの物質は、コンゴのような人権が守られていない国々から供給されている。

 Appleは、リサイクル部品を増やして製品を環境に優しいものにするための措置を講じてきた。同社のリサイクルロボット「Daisy」は、年間120万台の「iPhone」を分解して部品の再利用につなげている。Appleは2018年、同社が各国に置く施設すべてが100%クリーンな電力で稼働していることを明らかにした。Appleはまた、サプライヤーにも環境への配慮を推進することを求め、サプライヤーの施設の状況に関するレポートを公開してきた。

 サプライヤーの責任に関する2019年のレポートで、Appleは次のように述べた。「当社はサプライヤーに対し、尊厳と敬意をもって従業員を扱うよう求めている。サプライヤーは公正な労働時間、安全な職場、差別のない環境を提供しなければならない。こうした権利があることを従業員に初日から伝え、懸念があれば報告できる匿名の経路を確保しなければならない」

 Appleは同レポートの中で、未成年の労働者や意に反する労働などの問題をサプライヤーが解決しない場合、Appleはその会社との取引を停止すると述べた。そうしたAppleの求めに応じなかったために、過去に20社が取引を打ち切られたという。2018年には、コバルトでは2社、いわゆる「3TG」(タングステン、タンタル、スズ、金)では5社の製錬所または精製所が、こうしてAppleとの取引を失った。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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