「スマートフォンモード」で使うときのスクリーンが大きいので、閉じた状態のGalaxy Foldよりずっと便利だ。Galaxy Foldを使い始めてから何カ月かたつが、外側スクリーンは4.6インチと狭く、入力がとても難しいと感じることがある。そのため、結局ほぼいつも大きく開いたタブレットモードで使っている。自分が持っているのは、本当に折りたたみスマートフォンだったっけ。それとも折りたたんで簡単に収納できるタブレットだったっけ、と自問したくなるくらいだ。
一方、Mate Xなら、そんな疑問に悩むこともない。使いやすいデザインで、Galaxy Foldより幅が広いのだが、閉じた状態ではMate Xの方がはるかに薄い。ジーンズのポケットにもMate Xの方が簡単に収まるし、賑やかなパリの通りを歩いているときにも全く邪魔にならなかった。
気になるのは、外側に折りたたむので、背面のスクリーンが常に露わになっている点だ。ポケットの中で鍵やコインによって傷が付く心配もある。使われているプラスチック素材は、筆者が使っている間はかなり頑丈そうだったが、何カ月も何年も使っていても同じとは言い切れないし、きっと傷付きやすさを気にしてばかりいることになりそうだ。サムスンも、スクリーン破損がいくつも発生したために最初のGalaxy Foldのオーダーをすべてキャンセルし、最終的には再設計してから発売することになった。あの前例を忘れてはならないだろう。少なくとも筆者は、使っていないときには何らかの保護スリーブに収納しておきたいと思う。
OLEDディスプレイ自体は明るく鮮やかで、シャープネスも高い。ホテル客室の明るい照明の下でも、画面の読み取りに苦労はしなかったし、その後、あいにく冬のパリは曇り空だったが、屋外に出ても同じだった。動画は、スマートフォンモードで見ても申し分ないが、開いて8インチにするともっと没入感が増す。町に出かけているときに撮影した画像を、その大きいディスプレイでチェックするのは、本当に楽しかった。
折りたたみを可能にするために、ディスプレイはガラスではなくプラスチックで覆われている(現在の折りたたみスマートフォンはすべてそうだ)。また、Galaxy Foldでも見られたように、開いてスクリーンを平らにしたときには、表面に波跡のようなものが出る。といっても、Galaxy Foldの方が「折り目」として目立ったのに比べると、まさに「波跡」と呼べる程度だ。おそらく、スクリーンがそれほど急角度では曲がらないので、ディスプレイ素材にあまり折り目が生じないためだろう。実際に丸1日使ってみた間も、この波跡が目につくことはあまりなかったし、気になったことは皆無だった。
本当に細かい点までこだわるとしたら(いや、実際こだわっているのだが)、ヒンジが少し固いというところだろう。タブレットモードから外側に折りたたむとき、自然に折れ曲がるよりも無理矢理に曲げている感じがあり、最初に何度か折りたたんだときは、これでいいのかと不安に感じた。だが、そもそもタブレットを半分に折ろうとするという最初の違和感を乗り越えれば、きっと慣れてくる程度の感覚と言っていいだろう。逆に考えれば、タブレットとして使っているときに誤って閉じてしまう心配がないということでもある。スマートフォンモードにするとき、物理的な止め金でしっかり止まるのも、開くときに押すボタンが押しやすい位置にあるのも個人的には気に入っている。Galaxy FoldとRazrは、閉じた状態にするのに磁石を使っているが、Mate Xは止め金を選んだということだろう。どちらがいいかは、時間が答えを出してくれるはずだ。
カメラは、垂直のサイドバーに収められている。これは、タブレットモードで開いたときちょうどいい持ち手になると感じた(閉じてスマートフォンモードに戻ると、厚みがこのサイドバーの高さに揃うので突起にはならない)。また、カメラを使う際に、ノッチがディスプレイの邪魔になることがない。自撮りの場合でも、本体をひっくり返してメインのカメラでそのまま撮ればいいだけだ。
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