Facebook、協力型カードゲーム「花火」でチームワークできるAIを開発

Queenie Wong (CNET News) 翻訳校正: 湯本牧子 高森郁哉 中村智恵子 吉武稔夫 (ガリレオ)2019年12月09日 10時56分

 Facebookはこれまでに、テキサスホールデム(ポーカーの一種)や囲碁といった人気のゲームでプロのプレーヤーを打ち負かすことのできる人工知能(AI)搭載ボットを開発してきた。FacebookのAI研究チームは米国時間12月6日、さらに新たな課題を克服したことを明らかにした。チームワークが必要なカードゲーム「Hanabi」(花火)で高得点を獲得できるボットを開発したという。

カードゲーム「Hanabi」(花火)のカードを手にする和服姿の女性
提供:Getty Images

 Hanabiは2〜5人のプレーヤーで行う複雑なカードゲームで、参加者は限られた回数プレイする中で互いに協力する必要がある。各人は他のプレーヤーのカードを見ることができるが、自分自身のカードを見ることはできない。順番が来たら、他のプレーヤーが持っているカードについて相手にヒントを出すなど、いくつかの動きを取ることができる。プレーヤーたちは一連のカードを特定の順番に並べていき、セットごとに最も大きな数字のカードまで並べると得点できる。

 Facebookのボットは、ボットを相手にしたゲームの中で終始戦略を修正していった。このボットは、可能性がある自分の手のリストを「検索し」、相手のボットが情報を明らかにするたびにこのリストを変更した。ゲームの目的は協力して可能な限り高得点を取ることなので、プレーヤーは論理を用いて特定のカードが使われる理由を推測する。Facebookのボットは、自分の順番になると、仮説に基づくゲームをシミュレーションした上で取るべき最適な動きを決定した。Hanabiには、最大1000万通りの手がある。

 Hanabiをプレイするボットは、人が日々の生活の中でそうするのと同じように、AIも他のボットや人と協力して目的を達成できることを示している。

 Facebook AI Researchのリサーチエンジニア、Adam Lerer氏は次のように述べた。「われわれがHanabiに関心を抱く大きな理由は、ゲーム自体にあるのではない。(中略)関心があるのは、これらの能力を、自動運転車や対話型エージェントなどのAIシステムに組み込む方法を見つけることだ。そうしたAIシステムでは、動作を通じてやり取りしている相手の心理状態を実際に理解する必要がある」

 たとえば、自動運転車両は路上を走る際に、道路のいたるところで他の車両がどう動こうとしているのか予測する必要がある。FacebookのAI研究チームは、特定の製品ではなく、AIを全体として進化させることに力を注いでいる。

 Hanabiで獲得できる得点は最高で25点だが、あるときなど、Facebookのボットは2人プレイのHanabiで平均24.61点を獲得した。Hanabiの上級者によると、人間は60~70%の確率で最高点を出せるという。Facebookのボットは75%の確率で最高点を獲得した。

 Facebookは、AIを進化させるために達成したいことがほかにもあるとした。

 Facebook AIのリサーチサイエンティストNoam Brown氏によれば、同チームは、人間が言語を通じて何を言おうとし、何を表現しようとしているかをAIが理解できるよう手助けすることに注力しようとしている。また、AIが同じように人間に対して意図を言葉で表現できるようにしたいとも考えている。

 現実の生活における状況は、他人と協力したり相手を打ち負かしたりするよりも複雑だとBrown氏は語る。交渉は、完全な対立でも完全な協力でもなく、そのような状況の一例だという。

 「その中間のどこかにあるものだ。そうした状況に対処できるAIを求めている」(Brown氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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