弱いものを守るということなら、危険にさらされるのは人間だけではない。動物はこの星の貴重な生態系の一部だが、人間による密猟で多くの種は絶滅の危機が高まる一方だ。
ナイトビジョンを備えた密猟対策ドローンからサイの角に仕込んだカメラまで、テクノロジーは動物保護のために、この10年間に数多くの独創的な形で使われてきた。中米では、ウミガメの卵のほぼ90%が密猟者によって盗まれてしまうため、科学者たちが卵の違法売買を取り締まるために、かなり巧妙な対策を考え出した。
「InvestEGGator」は、3Dプリンターで製作されるGPS-GSMトラッキングデバイスで、見た目も感触も、本物のウミガメの卵に似ている。密猟者が狙う巣にこれを仕掛けておくと、InvestEGGatorが密売ルートをリアルタイムでマッピングし、当局は犯罪者を追跡して捕捉できるというしくみだ。
2018年には、Facebook、Google、Microsoft、Pinterest、阿里巴巴(アリババ)、百度(バイドゥ)のほか、テクノロジー企業15社が全世界から結集し、世界自然保護基金、国際動物愛護基金、およびTRAFFIC(野生動物製品の売買を監視する非営利団体)に協力して、「野生生物のオンライン不正取引を撲滅する世界連合(Global Coalition to End Wildlife Trafficking Online)」を設立。次の世代のために種を保護することを目的として、違法な野生動物売買に利用されるオープンなウェブを閉ざすと誓った。
残念なことに、2019年になっても、身体障害や慢性疾患を抱えた人の多くが、依然として社会から阻害されている。テクノロジーは、十分に考慮して開発されれば、平等を大きく進める要因になるという発見こそ、この10年間でテクノロジーが世界に果たしてきた大きい貢献のひとつだ。
負傷した退役軍人や高齢者に合わせて建てられたスマートホームでは、物理的な環境での移動がスムーズになっている。「Wayfindr」というアプリは、音声とビーコンの技術を利用して、目の不自由な人にロンドン地下鉄などの迷路のような場所を案内してくれる。
ライブキャプションやライブトランスクリプションがあれば、耳の悪い人でもリアルタイムで会話に参加できる。拡張現実を利用すれば、耳の聞こえない子どもが物語を体験できるようになり、耳の聞こえない観客でも、手話用の特別セッションに参加する代わりに、ライブパフォーマンスを楽しめるようになる。
この数年間における大小さまざまなテクノロジー企業の貢献は、驚くほどだった。次の10年間でいったいどうなるのか、それを目で確かめるのが楽しみでならない。
われわれは、世界のさまざまな問題に立ち向かうテクノロジーをこれからも支持していきたい。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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