スペースシェア仲介事業を行うスペースマーケットは11月28日、同社サービスの周辺領域で事業を展開する企業38社と、「スペースマーケットパートナーズ」プログラムを発足すると発表した。エコシステムを形成し、スペースシェアサービスを利用する際の利便性を高めることでユーザー満足度を向上させ、スペースシェアのさらなる普及および市場の拡大を目指す。同日パートナー戦略発表会を開催し、参画した各社とともに今後の展望について説明した。
スペースマーケットは、ウェブ、スマートフォン上でさまざまな種類のスペースを貸し借りできるスペースの時間貸しプラットフォームサービス。レンタル会議室や飲食店のアイドルタイム、美容室の定休日といった既存サービスの空き時間のほかに、個人宅、さらには使われなくなった廃校やお寺、お城などのユニークなスペースも短時間のレンタルスペースとして貸し借りすることができる。
今回発足したスペースマーケットパートナーズは、スペースマーケットおよびパートナー同士で協働してスペースシェアに関連する事業やソリューション、サービスを開発・推進するためのパートナーシッププログラム。各社のサービス領域を基準にスペース開発パートナーとソリューション開発パートナーに分かれ、前者では不動産関連や鉄道系企業、後者ではスペースを提供するホスト側の利便性を向上させるサービスと、スペースを借りるゲスト側の体験を向上させるサービスを提供するベンダーがそれぞれ多数参加している。
同プログラムにより、例えばホストとして遊休スペースを活用したい・時間貸ししたいユーザーは、どのようなゲストニーズに対し、どのようなコンセプトで空間を作って提供するか、企画から設計・施工、インテリアや家電の配置まで一括してサポートを受けることができるようになる。
スペースマーケット 代表取締役社長の重松大輔氏は、国内不動産業界の課題として空き家問題が深刻化しているが、これを「スペースマーケットを通じて解決できる」と話す。例えば、買い手や借り手のいない古民家も築年数に関係なく収益化でき、遠隔地にある不動産相続の際に、所有権や施入権を手放したくない場合は、自らが使う期間以外を時間貸しすることで、所有権や占有権を渡さずに収益化できるため空き家とせずに済む。
ほかにも、実際に都心の老朽化したマンションをリノベーションしてレンタルスペースとして再生したり、個人が仕事に出ている時間に自宅のスペースを貸し出したりというユースケースに加え、新規物件開発段階でスペースシェアを念頭に置いて開発するなどのホスト側の動きが加速しているという。
他方、利用者サイドでも「働き方や遊び方、商品販売方法の変化に伴い、レンタルスペースの活用が増加している」(重松氏)という。リモートワークや兼業、大人数でのスポーツ観戦、5G時代でVRの利用が増えることなどで今後のニーズの増加も見込まれる。企業ユーザーも、場所を限定した体験型のコンテンツマーケティングを実施する際に、シェアスペースは活用しやすいとのこと。
例えば参画メンバーの1社であるパナソニックは、皆で調理をしながら会話しつつ食事を楽しむための「いろりダイニング」というコンセプト型商品を販売する際に、自社のショールームでは水や火が使えずユーザーの心に残る体験を伝えられないので、スペースマーケットのレンタルスペースでコンセプトごと再現してユーザーに商品を紹介しているという。
これらの動きがある中で、新たにホストがシェアビジネスに参入する際の障壁、さらにはゲストがサービスを利用する際の利便性に関して現状さまざまな問題があるため、「パートナーと一緒にソリューションを開発し、シェアリング事業を拡大していく」(スペースマーケット 執行役員 VP of Businessの井上真吾氏)としている。パートナープログラムは、今後も対象サービス領域を含めて拡大していく計画だ。
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