Googleは11月22日、Netflixで「ストレンジャー・シングス 未知の世界」をストリーミングするかのようにゲームをプレイできる新サービス「Stadia」を、大きな期待を持って立ち上げた。だがすぐに、機能が少なく、ゲームのラインアップが乏しく、レスポンスが遅いという批判を浴びた。2020年には、もう1つの問題が待ち受けている。競争だ。
なぜなら2020年は、ソニーの「PlayStation 5」とMicrosoftの次期「Xbox」という新世代のゲーム機による、ゲーム新時代の幕開けになるからだ。これらのゲーム機はともに、同年の秋に発売予定だ。それだけではない。
スマートフォンを含む多様なデバイスでのゲームストリーミングによって、IT業界の巨人たちはゲーム業界に参入し、この業界の大御所であるソニー、Microsoft、任天堂と競合する機会を得た。
Googleにとって、ゲーム業界へのエントリーポイントがStadiaだ。このストリーミングサービスは、同社が擁する世界をほぼ網羅する強力なコンピューターネットワークのパワーを使って、インターネットから直接テレビ、PC、スマートフォンにゲームをストリーミングする。だが、サービスが始まり、多様なレビュー記事が上がっている現在、ゲーマーにStadiaを避けるよう勧める向きもある。Googleからゲームを1本購入すれば、その後は無料で使えるというのにだ。
米CNETの編集者、Scott Steinは自身のレビューで「Googleが(Stadiaを)YouTubeと連携させる方法を見つけ、競争力のあるスケールの大きい独自のゲームを開発するまでは、このサービスは時間を費やすに値しない」と書いた。
だが、Stadiaが約束した未来はそう遠くはない。
ソニーは10月、開始して5年になるストリーミングサービス「PlayStation Now」にてこ入れした。このサービスは、月額9.99ドル(日本では税込1180円)で、大人気のアクションゲーム「God of War」を含む800タイトル以上(日本では400タイトル以上)のゲームをプレイできる。
そして、Microsoftはゲーミングサービス「Project xCloud」の一般向けβテストを既に開始している。こちらは、新しい大型SFシューティングゲーム「Gears 5」と人気の「Halo」シリーズを含む50タイトルをプレイできる。同社はこれとは別に、月額9.99ドルからで、100タイトル以上のゲームをプレイできるサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」も提供している。
クラウドゲーミング業界に最も参入しそうな企業はAmazonだ。オンラインショッピング大手の同社は、既にゲーム、ゲーム端末、その周辺機器を販売している。また、ゲーム実況サービスの「Twitch」を傘下に収めている。
だが、Amazonにはさらなる野望がある。公には表明していないが、Google、Microsoft、ソニーと競合するゲームストリーミングサービスもその1つだ。
Amazonの計画に詳しい2人の情報筋によると、同社は2020年、ゲームストリーミングサービスを発表する計画という。同社はMicrosoftなどのゲーム大手からサービス立ち上げに必要な人材を引き抜き始めており、並行してAmazon Web Services(AWS)チームで「新たなイニシアチブ」のための職種で求人している。情報筋によると、これらの職種はAmazonの未来のゲーミングサービスに関連するものという。
Amazonが11月に提示した求人概要の1つには「1回25セントで勝負したアーケードゲームコミュニティーから始まり、現在のライブ実況やeスポーツに進化したゲーム文化は、誰もがゲーマーであり、誰もが創造し、大規模なスケールで競争し、協力し、つながれる世界に向かっていると、われわれは信じている」とある。別の求人では、同社は「マシンビジョンやゲームストリーミングなどの革新的な新しいユースケースを推進」したいと説明した。
さらに別の求人では、新イニシアチブはTwitchとその他の同社のサービスと連携する計画だとしている。
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