パナソニック津賀社長「赤字事業は完全になくす」--ソリューション型へビジネスモデルをシフト

 パナソニック 代表取締役社長の津賀一宏氏は、2021年度までに構造的赤字事業を撲滅するとともに、低収益事業についても、2021年度までに方向性を決定する考えを示した津賀社長は、「赤字事業は完全になくす」と宣言した。11月22日午前8時から行った会見で明らかにした。

パナソニック 代表取締役社長 津賀一宏氏
パナソニック 代表取締役社長 津賀一宏氏

「実現すべきことは低収益体質からの脱却」

 津賀社長は、2019年度からスタートした中期戦略に関して、「この中期戦略で実現すべきことは、低収益体質からの脱却。2021年度までに構造的赤字事業を撲滅して、ここから生まれている400億円の赤字を縮小する。また、低収益事業についても2021年度までに方向性を決定する。そして、競争力維持が困難な事業については、再び競争力を高めたり、収益力を取り戻す具体的対策が見えない場合は、パートナーなど社外の力を借りることも含めて大胆な資本政策を検討する」などと述べた。

 津賀社長は、具体的な構造的赤字事業を示さなかったが、その定義として、「一過性の赤字事業以外のもの」とし、「テスラの車載電池事業は、現在は赤字だが、黒字転換が見込まれている。このように、状況の変化や時間が経過すれば黒字化する一過性の赤字事業であり、これを除いたものが構造的赤字事業になる」とした。

 また、低収益事業は、「赤字ではないが、目指す営業利益率5%に届いていない事業や、目標に届いていないだけでなく、将来においても届くことが見込めない事業を指す。これは全体の足を引っ張ることになる事業であり、どうすれば強化できるのかを決めていく」とした。

 さらに、競争力維持が困難な事業としては、11月21日に発表した液晶パネルの生産終了を例に出し、「液晶事業は、もう一度持続可能な形に戻せないことはないが、長い時間がかかる。そこで、競争力の維持が困難であると見極めた」としたほか、「撤退する事業以外にも、なにかと組み合わせれば、競争力が確保できる事業もあり、これは柔軟に見ていくことになる」とした。

 そして津賀社長は「これらの判断は、これまではカンパニー主体で行ってきたが、今後はトップダウンで実行する」と津賀社長自らが厳しい姿勢で取り組むことを明らかにし、「カンバニー主導でやった結果、やり方が不十分であったり、スピード感が出なかったりといった部分をトップダウンで背中を押していくことになる。スピード感が出ない理由があったら、それをトップダウンで取り除く。事業の実態はカンパニーがわかっているので、認識が異なるということはなかったが、やり方に対して、徹底的にやるのか、どの時間軸でやるのかという点にメリハリをつけるのが狙い。打ち手が見えないときには、コーポレートで打ち手のオプションを考えるといった支援も行いたい」しながら、「社長の役割は気合を入れること」などと述べた。

 

 パソナニックでは、この中期戦略において、2021年度以降に、ROEで10%以上、空間ソリューションや現場プロセス、インダストリアルソリューションによって構成する基幹事業では、EBITDA成長率で5~10%、EBITDAマージンで10%以上を目指すという経営目標を掲げている。

 中期戦略では「ポートフォリオマネジメントの実行」、「経営体質の徹底強化」「目指す姿であるくらしアップデートを実現する会社」を目指すなかで、事業の選択と集中を推進。2021年度の1000億円の利益貢献に向けて、固定費を削減。赤字事業の抜本的対策と間接業務を効率化する考えも示した。

基幹事業の成長シナリオ
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