栃木銀行が事務作業を年間2万1000時間削減できた理由--一歩踏み込んだiPad活用 - (page 2)

「もっと訪問してきて」--効率化でコミュニケーションの時間増へ

 現場の声はどうか。栃木銀行 南陽市店でフィナンシャル・サポーターを担当する遠藤千智氏は、「申し込みをいただく時間、帰店してからの書類の事務処理が短くなった。お客様も、住所と名前と生年月日を何度も書く必要があったが、今は最初から住所は入っている。電子サインで済むので、お互い負担が減った。筆圧が弱い高齢のお客様でも、電子サインであれば力をかけずにいただける。いまは、宅配便のサインも一部電子化しているが、指で書くものが多い。Apple Pencilは、比較して書きやすいと喜んでもらえ、一文字を書くのも疲れるような方でも負担が少ない」と笑顔を見せた。

栃木銀行 南陽市店でフィナンシャル・サポーターを担当する遠藤千智氏
栃木銀行 南陽市店でフィナンシャル・サポーターを担当する遠藤千智氏
電子サイン
電子サイン
必要に応じて拡大し、書きやすくできる
必要に応じて拡大し、書きやすくできる

 また、1日のスケジュールも変化したという。「iPadの導入前は、1日の訪問件数を頭の中でスケジュールを組み、手帳で管理。お客様の情報は店で調べて頭に入れて外出する。データで示したいものがあれば紙で印刷して持っていく。交渉の結果の登録も、終わった後で支店に戻ってから入力していた。今は、訪問前にiPadで個人情報やどういう商品がよいかなどを確認する。もし、商談の途中にパンフレットが必要になってもすぐに対応でき、いまのマーケットの動向も可視化されているので、グラフや表でお客さまからはわかりやすいと評判。訪問記録もiPadで入力できる」と説明した。

 利便性が高くなったのは、時間の削減ができたフィナンシャル・サポーターだけではない。顧客にとっても、最新のデータをもとにアドバイスがもらえる。また、申し込み時の住所の記入や押す印鑑の手間など、ペーパーレス化および電子署名によるメリットは大きい。電子署名も、「銀行のサインとして認められるぐらい精度が高い」(益子氏)と太鼓判を押した。

 栃木銀行によると、顧客アンケートの中で、営業の方にもっと訪問してきてほしいという要望が多かったという。「デジタル化が進む中でも、まだシルバー層に対してのビジネスチャンスは非常にあると認識。そうした声に対して、できるだけ効率化をして対話する時間を増やしていきたい。また対話の中身もiPadによって深度を深めていきたい」(益子氏)と語った。

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