オムロンは11月13日、製造現場における外観検査を自動化するため、“人の感性”や“熟練者の経験”を再現し、欠陥を認識する、独自の欠陥抽出AI技術を開発したと発表した。
これまで機械では検出困難だった欠陥を安定検出し、人の目視に頼っていた外観検査の自動化を実現する。また、本AIを既存のオムロンの画像処理システム「FHシリーズ」に搭載し、2020年春に発売予定だ。
製造業では、熟練技能者の不足や人件費の高騰を背景に、人の経験や感覚を必須とし、人に依存していた搬送、組立、検査工程などの自動化が急務となっている。
特に製品の外観検査においては、さまざまな色や大きさのキズの判別、良品自体が大きくばらつく場合の欠陥品の判定など、経験豊富な熟練技能者の感性と経験が必要になる。人と同じように対象物の特徴を認識でき、判断基準を自動で学習できるAIに期待が高まっているが、実用化にあたっては、膨大な画像データを用意し学習させなければならず、またAIエンジニアの確保と特別なAIハードウェアを現場に設置する必要があるなど課題があり、導入が進んでいないのが現状という。
オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 センサ事業部 第2開発部 部長の竹川肇氏は、「人はモノを見るときにいろいろな見方をする。たとえば全体をぼやっと見たら見えてくる、背景と違和感がある──という人の感覚に迫るノウハウをAIに搭載した」と説明した。
オムロンが30年以上にわたり外観検査の現場で培った、画像処理と検査内容そのものに対する知見により、学習すべき画像を自動判断し、誰でも数分で最適な学習を実現するという。これにより十枚前後の画像で高い検査性能を引き出せるようになるとした。
またコンパクトなAI技術であることも特徴の一つで、大型な高性能なコンピューターは現場に持ち込むのは難しい。AIを軽量化し、通常のPC環境で作動でき、AIに関する専門知識を持ったエンジニアがいなくても、スキルレスで現場での立ち上げや調整が可能になる。
素材の検証は、自動車の部品の一部に特化しており「光沢がない、金属のベタッとした直接光が鏡のように返ってこないものに対しては対応できる」としている。
また、このAIを搭載した画像処理システムFHシリーズを、11月27日から11月29日まで、東京ビッグサイトで開催される「IIFES2019」に初出展する。
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