このほか同日、AIの性能を高める非集中学習技術「Decentralized X(ディセントラライズド エックス)」の開発についても発表した。
大量のデータを入手できない企業でも、機械学習モデルの統合によって高性能なAIを現場に導入できる技術で、中小企業などビッグデータを集められない企業の社会的課題の解決を目指す。
通常、AIの精度を高めるには、多くのデータを集めなければならない。だが、生産量や環境の違いにより、Aの現場はりんご、Bはみかん、Cは梨の選別が得意だが、それぞれ苦手なものを持っているとする。Decentralized Xは、そうした認識の得意不得意を、データではなく、各々の機械学習モデルを持ち寄り統合することで、新たな学習モデルXを作りだし、機械学習モデルの統合によってAIの性能を高められるのが特徴だ。
AIの機械学習モデルにはさまざまな構造があり、異なる機械学習モデル同士をその特性を損なわずに統合することは、これまで技術的に困難だったという。
Decentralized Xは、異なる機械学習モデルであっても統合可能な独自のアルゴリズムにより、すべてのデータを集約して機械学習を行った場合と同等性能のAIを開発できるとしている。
なお、学習時には個々の事業者がお互いにデータを公開することなく、秘匿性を高められるという。
オムロン サイニックエックス シニアリサーチャーの米谷竜氏は、今回の技術発表をオープンイノベーションによる技術の活用のスタートと位置付け、「共に社会課題を解決するパートナーを募集する」と語った。
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