Googleへの抗議活動によって、デモの主催者らの要求すべてが通ったわけではない。一部のGoogle社員や元社員は、同社の対応に不満を持っている。主催者らは、Googleは問題処理のための必要最低限の対策しか取っていないと述べている。また、同社が従業員に報復しており、反対意見を潰そうとしていると主張する社員もいる。
抗議デモに参加したあるGoogle社員は、「彼らはリップサービスばかりだ」と話す。会社からの報復を恐れて匿名を条件にコメントしたこの人物は、「これはわれわれの知性に対する侮辱だ」と語った。
Googleは、共同創業者であるPage氏やSergey Brin氏、CEOのSundar Pichai氏、人事担当役員のEileen Naughton氏を含む、経営陣に対するインタビューの申し入れに応じなかった。Naughton氏は声明を発表し、Googleが過去1年間に行ってきた制度変更を強調した。これには、ハラスメントやその他の問題を告発する際の手順の合理化が含まれる。
同氏は「不祥事の告発には勇気が必要であり、問題を提起してくれた人々には配慮と支援を提供したい」、「われわれに報告されたすべての不適切行為は、厳正に調査される」とも述べている。
抗議デモに至る伏線は、New York Timesに記事が掲載されるよりもかなり前から現れていた。2018年4月には、Googleの従業員が、米軍のための人工知能(AI)の開発を目的とした国防省の取り組みである「Project Maven」に参加するという経営陣の判断に異を唱え、契約継続を断念させた。その2カ月後には、中国向けの検閲機能を備えた検索エンジンを開発しようとする「Dragonfly」と呼ばれる秘密プロジェクトに関する記事が報道されたが、これを受けて一部の社員は退職し、約1000人の社員がPichai氏にプロジェクトの透明性確保を求める公開書簡に署名した。これらの抗議活動に参加した経験が、Google社員に経営陣に異議を唱え、自分たちの意見を表明する勇気を与えた。
筆者はこれらの以前の抗議活動についても取材したが、抗議デモでは次元が違った。違いは最初から感じられた。主催者らは、このイベントのためのTwitterアカウントを作成し、世界に向けて抗議デモの実施を発表した。また、抗議行動の際には物々しい警備体制が敷かれたが、メディアからの注目が大きかったことを考えれば、それも当然だったかもしれない(頭上には空中からの映像を撮影しようとするテレビ局のヘリコプターが飛んでいた)。
筆者は過去に何度もGoogleを訪れ、敷地の屋外部分を散策したことがある。これは筆者だけの話ではない。ガラス張りの建物の正面にあるAndroidの像や、巨大なGoogleロゴを背にして、旅行者が写真を撮っていることも多い。シリコンバレー版の「Hollywood」サインやチャイニーズシアターだと思えばいいだろう。
しかしその日は、警備員が敷地の境界を閉鎖し、私服の警備員が、筆者やほかの報道関係者、あるいは従業員以外の人々に、敷地外に退去するよう求めてきた。報道陣は隣接するチャールストンパークまで撤退し、遠くからそのシーンを撮影するしかなかった(抗議デモの主催者らが、Googleからの報復に遭ったと主張して、その6カ月後に座り込み抗議を行ったときにも同じ措置が取られた)。
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