ソフトバンクの2020年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比6.0%増の2兆3731億円、営業利益が前年同期比6.5%増の5520億円と増収増益の決算となった。連結子会社化したヤフーの影響を除いても増収増益を記録しており、引き続き業績は好調に推移しているようだ。
通信事業の業績も、売上高が前年同期比3.6%増の1兆3360億円、セグメント利益が前年同期比4.7%増の4016億円と好調。ソフトバンクとワイモバイル、LINEモバイルという3つのブランドでうまく住み分けを図りつつ契約数を伸ばしており、スマートフォンの累計契約数は前年同期比9%の194万件増と、200万近く契約を伸ばしているとのことだ。
同社ではワイモバイルブランドにも分離プランを導入し、新料金プランを打ち出すなどしてさらに攻勢をかけるが、やはり9月までは法改正前の駆け込み需要が増えたことによる影響が出たという。実際、同社の代表取締役社長 執行役員 兼 CEOの宮内謙氏は、「10月以降、(獲得が)少し下がることを見越して(あらかじめ)取っておこうと仕掛けたわけではないが、結局競争環境の中で、常に戦い勝っていかないといけない」と話しており、そのために販売手数料や広告宣伝費を増やすなどの影響が出たという。
一方で10月以降に関しては、やはり法改正の影響、そして消費税増税の影響などもあって、大手3社間での流動性は低下し、「3社で取り合っていた部分が減少した感じで、解約率も解約数も減っている」と宮内氏は話している。まだ法改正されて間もないことから今後の推移を見守るとしているが、代わりに法人向けの契約が伸びていることから、トータルでは伸びを維持できると捉えているようだ。
なお法改正に際して、ソフトバンクは4年間の割賦で端末を購入し、2年間経過後に端末を返却して機種変更することで、残債を免除する端末購入プログラムを、純粋な物販のプログラムとした「トクするサポート」(旧・半額サポート+)として維持している。KDDIが総務省からの指摘を受けて、同様のプログラムを終了し、方針転換を図ったのとは異なる対応を取ったことについて、宮内氏は「ユーザーのクレームが皆無に近い」と、顧客からの支持が高いことをその理由と説明。総務省から指摘を受けた部分の修正を図りつつ、今後も継続していく考えを示している。
通信以外の事業に関しても、スマートフォン決済サービスの「PayPay」が消費増税の影響から累計登録者数が1920万にまで拡大するなど順調な伸びを示し、宮内氏が「一人勝ち」を宣言するなど好調な様子を示している。一方で気になるのがそれ以外の新規事業に関してである。
特にWeWorkとの合弁で展開しているシェアオフィス事業に関しては、WeWorkの経営問題が浮上。ソフトバンクの親会社でもあるソフトバンクグループが実質的な支援に乗り出し、その影響もあってソフトバンクグループは営業赤字に転落するなど、グループ全体で非常に大きな影響を受けている。
宮内氏は日本での合弁事業に関して、それらの動向に関係なく順調だと説明しているが、WeWorkの動向によっては日本の事業にも大きな影響が出かねない。ソフトバンクは、ソフトバンクグループが注力するソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先企業との合弁事業で新規事業を拡大する戦略を取っているだけに、今回の騒動の結果によってはその戦略の見直しを迫られる可能性もありそうだ。
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