米FDAの認可を受けたヘルス機能の可能性
Fitbitは睡眠測定と心拍数測定の両方で米食品医薬品局(FDA)の認可を求めることになっていた(おそらく、心臓不整脈と
睡眠時無呼吸の兆候を確認できるようにすることが目的)。Fitbitは結局、これらの機能や「Apple Watch」のような心電図機能を自社のフィットネスウェアラブルに搭載しなかった。だが、Googleはそれを実現するかもしれない。
GartnerのアナリストでシニアディレクターのAlan Antin氏は、FitbitがすでにFDAのクリアランスファストトラックプログラム(優先承認審査制度)の指定を受けていることを利点と考えている。ただし、Antin氏によると、Googleの親会社であるAlphabetは、「すでにVerilyと『Project Baseline』でこれと同じようなことを進めていて、それに多くの機能を加えたのかどうかは、私には分からない」という。
本当に重要なのはデータ
筆者は8月にFitbitの「Versa 2」発表イベントに参加し、Fitbitが膨大な量のデータを収集していることを改めて思い知らされたのを覚えている。企業や医療保険、ウェルネスプログラムにおけるFitbitの存在感も巨大だ。Fitbitの既存のハードウェアが最終的に取って代わられることになると仮定しても、本当に重要なのはデータとFitbitのサービスの加入者だ。Fitbitによると、同社の現在のアクティブユーザー数は2800万人以上だという。Fitbitのアプリには、コミュニティー機能がたくさんある。Googleが(ユーザーのプライバシーを侵害したり、気味悪さを感じさせたりすることなく)そのすべてを活用する方法を見つけられたら、ウェアラブルで次に目指している場所がどこであれ、非常に幸先のいいスタートを切ることができるだろう。
Fitbitが収集するデータについて8月のイベントで説明する最高経営責任者(CEO)のJames Park氏
提供:Scott Stein/CNET
「これは、どちらかというと長期的な戦略なのだろう。Fitbitには、何千万人ものユーザーがいるので、健康に関する情報のかなり大規模なデータベースがある。そのおかげで、Googleはすぐに大きな存在感を得られるだろう」(GartnerのAntin氏)
アナリストのPatrick Moorhead氏も、「Fitbitの買収を通して、Googleは顧客とデータを獲得することになる。Googleがこれまでウェアラブルで失敗し、Appleが(Apple)Watchではるかに先を行っていることを考えると、これは良い動きだと思う」とAntin氏の考えに同意している。ただし、Moorhead氏は、消費者が懸念すべき理由もたくさんあると考えている。「プライバシーについて、そして、Googleが膨大な量の個人の健康情報を使って何をするつもりなのかということについて、ユーザーは問いただす必要があるだろう」(同氏)
Googleによる買収を発表したFitbitの
プレスリリースで、同社は「Fitbitが個人情報を販売することは決してなく、Fitbitの健康データとウェルネスデータがGoogleの広告に利用されることもない」と述べている。Fitbitの広報担当者は今回の買収について、それ以上のコメントを控えた。
Google Cloudのコーポレートコミュニケーションズ責任者のHeather Dickinson氏は、次のように語った。「FitbitはGoogleのプライバシーポリシーに従うことになる。『Google Fit』を含む当社のほかの製品と同様、われわれは収集するデータとその理由について、情報を開示する。個人情報は決して誰にも販売しない。Fitbitの健康データやウェルネスデータをGoogleの広告に利用することは決してしないし、Fitbitユーザーが自分のデータを確認、移動、および削除できるようにする」