全国小中学生プログラミング大会(JJPC)実行委員会は10月20日、「第4回 全国小中学生プログラミング大会」の最終審査会・表彰式を開催し、グランプリ・準グランプリをはじめとする受賞作品全10作を発表した。
全国小中学生プログラミング大会実行委員会は、角川アスキー総合研究所、CANVASが運営し、実行委員長を東京大学先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏、審査委員長をアーティスト・東京大学名誉教授の河口洋一郎氏が務める。また、朝日新聞社が共催、超教育協会が後援している。
同大会は、アイデアを表現・発信する手段としてのプログラミングの普及を目的に2016年から開催されている。今回は、夏休み中の開発を想定した7月1日から9月2日までを募集期間として、北海道から沖縄まで351の作品が小中学生から寄せられた。都道府県別の応募数は、神奈川72、東京66、愛知54の順。1次・2次審査を経た「入選作品」の10作から、10月20日の最終審査会では制作者によるデモ展示をもとに選考。同日の表彰式で、グランプリ・準グランプリなど、各賞に選ばれた10作品を表彰した。
審査の結果、グランプリには「現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機」(小学2年生・小長井聡介さん)、準グランプリには「会話おたすけ音声ロボット」(小学3年生・安藤颯亮さん)が選ばれた。
グランプリの現実シリーズ2 渋谷スクランブル交差点信号機は、渋谷ハチ公前のスクランブル交差点をコンピューター上でシミュレーションした作品。渋滞の状況を最初に設定すると、信号が変わるたびに画面上の車や人が動き出す。
小長井さんは、何度も現地に足を運んでデータをとり、航空写真を参考にして画面を作るなど、制作過程自体が自由研究のような内容になっている。また青信号では、一度に600人もの人が交差点を渡り始めるが、Scratchの制限から10人を1グループにするなどの工夫もされている。
小長井さんによると「安全で渋滞のない交差点や信号をつくることにつながれば」という思いで制作したという。自由研究では集計や観察の分析までであるのに対して、シミュレーターにしたことでプログラミングならではの理解が進んだ様子が評価された。
準グランプリの会話おたすけ音声ロボットは、ケガや病気で話すことができず、書くのも大変な状況の人に向けた会話ツール。手にはめて使うレゴで組み立てたロボットハンドとPCの画面を組み合わせて操作。Scratch、WeDo、micro:bitといった複数のソフト、ハードを組み合わせた点も特徴だ。
安藤さんによると、体の自由が奪われる難病と向き合った英国の物理学者ホーキング博士をTVで見て「同じような状況で困っている人に便利なロボットを開発したいと思った」ことが制作のきっかけだという。
審査委員長の河口氏は、「このプログラミング大会では、どんどん時代は変わってきているので、皆さんも新たな方向に展開をしてほしいと考えている。今回も、グランプリ作品を含めて、やはり去年や一昨年とは違う新しい波が出てきた」とコメント。
また、グランプリ作品に触れ「独創性やアイデアに富んだ作品を制作するには、真面目で地道な努力をすることが必要。真面目にやった人がノーベル賞を取る。みなさんも、自分たちが持っているテーマをより深く掘り下げて欲しい。たぶん自分にしかできないことがたくさんあると思うので、それを自分の得意技として、これからの発展的な新しいものに応用していくのがいいと思う」とアドバイスした。
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