このニューロスペースが持つ知見をもとに開発したのがXシリーズに搭載された「おやすみAI」だ。設定した就寝時間より1時間ほど前から自動で室温を下げ始め、就寝時の快適性を高めつつ、前半は設定より低い温度で体の深部体温を下げて入眠を促す。入眠後は徐々に温度を上げていき、起床時間近くになると設定より高い温度をキープして起床を促す仕組みだ。
ニュースペースでは、おやすみAIを搭載したエアコンの実際の使用感をモニターを使って調査。睡眠計測デバイス「Early Sense」により睡眠中の体動や呼吸を調べた結果、おやすみAIを使った場合は中途覚醒が13%減少し、深い眠りの時間は9%増加、入眠までの時間も5%ほど改善したという。
初期設定は、平均値を使った制御アルゴリズムを組んでいるため、ユーザーによっては合わない場合もある。そこで、アプリ上でどの時間帯が「寒かった」または「暑かった」を入力すると、次回からはAIが温度制御を補正。夜中にリモコンを使ってユーザー自らで設定温度を変えた場合の動作もAIが学習し、温度制御に反映させる。これらを繰り返すことでエアコンがユーザーの好みを学習し、それぞれに適した睡眠制御が完成するとしている。
さらに、クラウド上で居住地域の気象予報を取得、予報の湿度・温度をもとにエアコンの設定温度を細かく変化させ、より快適な睡眠を促すとともに、外気温が低い予報のときには運転を控えめするなどして電気代を抑える。
なお、現状はユーザー各個人に合わせた制御補正はアプリのアンケートを繰り返すことでしかできないが、将来的には「Early Sense」のようなスマートデバイスと連動したリアルタイム補正も検討する。
天気予報をもとにした温度制御は、日中のエアコン使用にも活用される。シャープのエアコンは従来から日射センサーを搭載しており、日射によって室温が上昇すると夏は冷房を強める/冬は暖房を弱めるなどし、自動的に温度設定を変更する。
しかし、これは日差しが入ってからの制御となるため、室温が設定温度に達するまでは不快な状態が続き、晴れ/曇りを繰り返す場合はその都度エアコンが動き出すため室温が安定せず、かえって不快になったり余分な電気代がかかったりしかねない。
新機能の「日中制御」では、クラウド側で天気予報のデータを取得、温度の上昇を予測してエアコンが先回り運転を開始。例えば冬の場合、晴れ間がのぞく前に暖房運転をゆるめてくことで無駄な暖房がなくなるため、約15%の省エネになるとしている。
近年、「睡眠負債」という言葉が聞かれる。睡眠不足が続くことで体に負荷が蓄積され、さまざまな体調不良を引き起こすと言われている。ここ数年の夏場の寝苦しさは筆舌に尽くし難く、エアコンなしには眠れなず、しかしエアコンをつけて寝ると今度は冷房病になってかえって体を壊してしまう。まさに「睡眠負債」がどんどん蓄積されていく状況だ。就寝中の快適さを追求したシャープのエアコンは、そんな悩みから救ってくれるかもしれない。
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