11月の「Apple TV+」サービス開始に向けて準備を進めるAppleが、同サービスと同社の音楽配信サービス「Apple Music」とのバンドル提供を視野に、大手音楽レーベル各社とのライセンス交渉に乗り出しているとFinancial Times(FT)が報じた。
大手音楽レーベル3社――Universal Music Group、Warner Music Group、Sony Music Entertainmentのなかには、Apple MusicとApple TV+をバンドルして定額料金で提供するというAppleの案に前向きな企業もあるいっぽう、ある大手レーベル関係者は同案に懸念を示しているとFTでは報じられている。Appleと音楽レーベル各社との交渉はまだ初期段階で、ライセンスの価格設定に関する話し合いには至っていないが、仮にApple MusicとApple TV+がバンドル提供されることになれば、Apple Musicを含むほぼすべての音楽ストリーミングサービスが現在ユーザーに課している月額10ドルという料金が実質的に値下げされる可能性を危惧する音楽レーベル幹部もいるという。
ネット経由のストリーミング配信を音楽を聴くための最も一般的な手段に押し上げた社会的変化は音楽業界に恩恵をもたらしてきた。Apple MusicやSpotifyなどのサブスクリプションサービスから得られるロイヤルティー収入は、音楽レーベル各社にとっていまや最大の収入源に成長した。だが、音楽業界では1990年代末から2000年代初めにかけて負った音楽のデジタル配信による打撃の傷跡がいまだに残っている。同業界は当時、音楽データの違法ファイル共有と、その後に生じた有料ダウンロード配信の台頭によって、それぞれ利益がむしばまれた。
音楽業界のなかには、かつてAppleが普及させたダウンロード配信モデルを非難する声もある。Appleは海賊版撲滅に苦戦する音楽レーベル各社から1曲99セントでダウンロード販売する契約をもぎ取ったが、このことで受けた打撃から音楽業界はいまようやく立ち直り始めたところだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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