デルフト工科大学などの研究チームは、画家、フィンセント・ファン・ゴッホの作品が描かれた当時にどのような状態だったかを推測する研究に、人工知能(AI)を適用した。この技術を利用し、実際に描かれた直後の姿を再現しようとしている。
絵画は描かれてから長い年月が経過すると、周囲の環境から影響を受け、色が変化するなどしてしまう。たとえば、ゴッホ美術館が所蔵する「Snow-Covered Field with a Harrow(after Millet)」という1890年の作品は、色が描かれた当時よりあせているそうだ。額縁に隠されていた部分の色から判断すると、全体的に緑がかった現在の色は、本来紫に近かったはずだという。
研究チームは、深層学習(ディープラーニング)の一種である畳み込みニューラルネットワーク(CNN)技術を用い、1888年に描かれた「Montmajour」というゴッホの作品を解析。絵の縁に残っていたアニリンインクの色を参考にして、現在は薄くなってしまった部分の色を1928年の状態に戻す処理を施した。その結果、色あせてほとんど見えなくなっていた部分が、明確な線画として浮かび上がった。
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