不動産登記情報×ビッグデータで詐欺も撃退--トーラスがデータから解決する不動産の困りごと - (page 2)

先行するデータ量はRPAとAIを使って蓄積

——実際、登記簿情報はどのようにデータ化しているのですか。登記・供託オンライン申請システムとAPI連携などをされているのでしょうか。

 よく聞かれるのですが実はAPIはなくて、法務局に行き、登記をとってきています。もちろん人間の手でもできますが、私たちはこれにRPAを使っています。実際問題、量が膨大のため、人間がやるのは到底無理で、RPAを使って次々にデータ化しています。

 登記簿には、不要な情報も含まれていますから、人間は読むべきところを読むことに特化しています。そのデータをダウンロードしてお客様のところにお持ちするという仕組みです。

——謄本の内容は大変複雑で、長い期間を経るうちに担保がついたり、ややこしい経緯があったりします。それをRPAで読み取るまでにするにはかなりの苦労があったのではないでしょうか。

 そこは1つのノウハウだと思っています。ルールベースを構築することにずっと取り組んできました。不動産登記はまさにミステリーツアーで、データを取りに行くのは慣れた人でないとできません。ただしここを網羅すると、かなり複雑な不動産のビジネスにも手がけられますので、強みになっていると思います。

——不動産登記はプロでも間違えますよね。読み解くのが難しい反面、宝の地図とも言えます。実際にはどのような不動産トラブル回避につなげていらっしゃるのでしょう。

 不動産登記簿謄本・商業登記簿謄本をオンラインで取得、蓄積、エクセル化できる「不動産レーダー」を提供しています。資産を持っている人が特に困るのは資産へのさまざまな課税です。相続税はそのうち大きなもののひとつですね。これがいつ起きそうか予測する仕組みを提供できます。私たちのメインクライアントは、不動産会社や金融機関ですので、土地活用などに関して、弊社のデータを入れてもらうことで活用いただいています。

不動産レーダー
不動産レーダー

 加えて、最近増えてきたのがいわゆる地面師による詐欺です。これも私たちがコンサルティングしていれば、事前に見抜けます。私たちは不動産登記をきちんと整理して持っていますので、優良な不動産をお持ちの方がすぐにわかるんですね。なぜなら優良な不動産を持っている方は、ほかにも同様のよい不動産をもっているはずだからです。それは登記を見ればわかります。

 しかし詐欺の場合は、優良な不動産を持っている人になりすましたいだけなので、ほかにある優良物件に関する調査まではできていない。そのほかの情報は知らないことになります。ここに情報の非対称性が生まれる。私たちが知っていて、相手が知らない情報のズレを利用すると、「あそこの物件は最近どうですか」など、的確な質問ができるようになります。この質問を繰り返すことで、なりすましかどうか見極められます。

——ECサイトのレビューのように、いいレビュアーはほかのレビューもきちんと書いているみたいなものですね。確かにこれを個社で追いかけるのは大変で、所有者からは判別できませんね。

 詐欺の場合は、自分が何を聞かれているかわからないので、適当なことを言うんですね。そのため話しをすり替えようとしたり、抽象的だったりと、具体的なことを言わない。私たちはデータベースから、どんな人がどこにどんな土地を持っているかということがわかりますから、あいまいな答えだとすぐに嘘だとわかる。実際に私たちがその場にいなくとも、質問表を作っておいて、それに従って質問していただき、フィードバックをもらうだけでも、おかしいなということがわかり、スコアリングできます。

——このご時世でもまだ土地に関する詐欺はありますね。

 むしろこのご時世だからかもしれません。東京の不動産は値上がりしていて、買いたくてもものがない状態です。今まで安かった土地も、商業地ができたり駅ができたりすると、ぱっと価格があがります。そういった土地は権利関係が不透明な部分が多く、詐欺にあいやすいケースといえるでしょう。

 私たちは不動産会社のお客さまが不動産を購入する時に、安全な物件か、所有者ははっきりしているかという裏付けをとれる。そういうお手伝いもしています。

 こういったサービスはほかではやっていません。不動産登記の取得代行だけなら、多くの会社が取り組んでいます。極端に言えば日本中の司法書士の方々は競合と言えるでしょう。しかし不動産登記のビックデータを使って、深いマーケット・インサイトを提供するサービスは、トーラスならではと言えるでしょう。

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