深刻な人手不足が叫ばれる建設業界に、工期の短縮、人件費の削減に結びつける、住宅キット販売プラットフォーム「HOME i LAND」(HiL:ハイル)が登場した。9月25日、ワールドハウジングクラブが発表した。すでにYKK APやリクシル、旭化成建材などの応援企業を獲得し、パッケージ化した「住宅キット」をビルダー同士で共有し、自社ブランドとして販売、施工ができる、サブスクリプションモデルとして提供する。本格運用は10月10日。料金は月額税別5万円になる。
HiLは、住宅の設計案などを全てパッケージ化した住宅キットを、ビルダー同士で共有し、自社ブランドとして販売施工ができる住宅キット販売のプラットフォーム。住宅を施工する工務店などのビルダー向けに提供され、入会金0円でHiLに登録でき、月額税別5万円で何度でもHiL内で展開される住宅キットの選択が可能だ。
住宅キットは、プラン、設計図書、販促ツールなどで構成され、別途建築資材を購入することで、住宅の建設が可能。住宅キットの提供を受けたビルダーは、半年以内に実物件を建築する必要があり、建築時に詳細な設計図などがダウンロード可能だ。
住宅キットは、新開発の高性能パネル「未来パネル」を採用。未来パネルは、窓一体型パネルなど、進化する住宅部品で、工場生産でパネル化し、現場でそれを組み立てる。これにより、高性能な住宅を自社ブランドとして販売できるほか、工期の短縮にもつながる。ワールドハウジングクラブによると、未来パネルを用いることで、今までの25%の施工期間で住宅建設が可能になるとしている。
いずれも耐震等級3、断熱性HEAT20 G2対応で、高性能な断熱材やパネル専用設計の窓枠に収まる内窓によって、運搬、施工、性能の効率化を目指す。未来パネルは、HiLすべての住宅に標準セットされる。
ワールドハウジングクラブ 常務取締役の新沼教之氏は「住宅の性能は、工場生産とIoTが必要。パネル化するとともに、スマートフォンで玄関の開閉や民泊にも対応した次世代スマートキーや未来窓など、新しい住宅部品を利用可能になる」と、スマートハウス化も見据える。すでに、スマートロックを手掛けるtsumugや、窓型のスマートディスプレイ「Atmoph Window」を開発するアトモフも、応援企業に名を連ねており、「今後も増える計画」(新沼氏)とした。
すでに9つの住宅キットを用意しており、新商品も続々登録中とのこと。ビルダー、住宅設計士は、HiLの審査合格後、出店料を支払うことで、自身の住宅商品をHiLへ出店することも可能。住宅キットとして全国販売ができ、自身の住宅キットで住宅が施工される度に、ロイヤリティーが入る仕組み。これまで多くの販路を持つことができなかったビルダーも全国展開するチャンスを提供する。
住宅キットによる住宅は、1200〜1700万円程度を予定しており、「年収400万円の人でも建てられる家」(ワールドハウジングクラブ 商品開発統括部部長の東克紀氏)を想定する。応援企業には、内装デザインから工事をワンストップで請け負うユニオンテックも参加しており、建設工事マッチングプラットフォーム「SUSTINA」を使って、職人手配サービスなども合わせて実施する予定だ。
将来的には、木造コンテナ住宅「HACOBASE」などの展開も見据え、2020年のスタートさせる計画。HACOBASEは、完全工場生産のコンテナハウスで、住宅のほか、別荘や店舗、仮設住宅などにも汎用できるとしている。
ワールドハウジングクラブでは、住宅キットによる住宅の建設を2020年に500棟、2021年に1000棟、2025年に1万4000棟と計画。サブスクリプションを実施するビルダー数は、2020年3月に100社、2021年度に1000社を目指す。
同日には、HiLの本格運用に際し、住宅プランを幅広く集うため、建築設計コンペ「HOME i LAND competition 2019」を開催。最優秀受賞者の小原綾子氏は、HiLへの出店権とロイヤリティーの取得権が贈られたほか、商品化に向けてプロデュース支援も実施される。
応援企業は以下の通り。アイカ工業、旭化成建材、あすみ住宅研究会、アトモフ、安心計画、イビケン、永大産業、エスビーエス、N-ONE DESIGN、エフアンドエス・エキスパート、大倉工業、鬼山住宅コンサルティング、窪田建設、コトユニット、サンコーエーシーピー、サンビーム、GA HOUSE、有限会社ジェイウォール静岡、鈴木良工務店、スタジオトレオ一級建築士事務所、第一建設、ティエムファクトリ、tsumug、トーヨーマテリア、日東エルマテリアル、ハウディ―、YADOKARI、ユニオンテック、Red House Design-Lab、LIXIL、YKK AP
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