中高生が「ライブ動画」を配信する理由--露出要求などリスクも - (page 2)

主役になりファンを獲得したい子どもたち

 ソーシャルメディアには、友だちとつながる形のものと、他人に見てもらうことが主体のものがある。前者はFacebookやLINE、mixiなどで、後者はInstagram、TikTok、YouTube、MixChannelなどになるだろう。Twitterは使い方によって前者にも後者にもなるのではないか。

 10代の子どもたちは、友だちとつながりたい欲求も持っている。友達関係の中で認められたり、居場所を築きたい思いもある。しかしそれ以上に、多くの人に見てもらいたいとか認めてもらいたい思いを抱いている子はとても多い。最近10代の子どもたちにヒットするアプリは後者であり、動画配信アプリもこの中に含まれるだろう。

 TikTokでは、フォロワーは「ファン」という呼称であり、AIによってその動画を好みそうなユーザーにおすすめとして表示されるため、他のSNSよりもユーザーからのリアクションが良いのが人気の秘訣だという。TikTokでは「#広告で有名になりたい」「#人気者になりたい」などのハッシュタグが人気であり、同アプリで行われているキャンペーンも、「広告/テレビなどに出られる」というインセンティブが投稿のモチベーションになっているようだ。

 配信されているライブ動画を見ると、配信している中高生たちが芸能人顔負けで話したり、振る舞っている姿が見られる。視聴者に対する態度もすっかり芸能人のようだ。視聴者からのコメントに一つ一つお礼を言い、乞われるままにポーズをとったり、歌ったりしている。その程度ならいいが、「露出を増やしてほしい」などの問題あるお願いも聞いたりしていると、垢BANされてしまうリスクがある。そのような動画の一部はYouTubeなどにいまだに掲載されている状態だ。

 私が以前見たツイキャス動画では、警戒して顔をマスクで隠していた女子高生が、「絶対かわいいよね。顔を見せて」と複数の視聴者に何度も乞われ、結局素顔をさらしていた。最初はそのつもりはなくても、視聴者からお願いされて行動してしまう中高生は少なくない。素顔をさらすくらいなら問題はないが、お願いされるままに露出を増やすなどしてしまっている中高生配信者がいる。

 承認されたい欲求は誰にもあり、満たすことが悪いことではない。しかし、視聴するユーザーとやり取りするうちに、自らデジタルタトゥーを生み出すことがないよう、子どもたちの利用を見守ってあげてほしい。

高橋暁子

ITジャーナリスト。書籍、雑誌、Webメディア等の記事の執筆、企業等のコンサルタント、講演、セミナー等を手がける。SNS等のウェブサービスや、情報リテラシー教育について詳しい。
元小学校教員。
『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』(共に日本実業出版社)他著書多数。
近著は『ソーシャルメディア中毒 つながりに溺れる人たち』(幻冬舎)。

ブログ:http://akiakatsuki.hatenablog.com/

Twitter:@akiakatsuki

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