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世界規模の不動産取り引きを実現した「Listグループ不動産システム」--リストが明かす開発秘話

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 朝日インタラクティブは8月28日に「CNET Japan Conference 不動産テックカンファレンス2019」を開催した。サブタイトルには「不動産業界の未来を輝かせる『テクノロジー・ビジネス・人材』の活かし方」と題し、不動産に焦点を当てた変革を浮き彫りにしている。

 ここでは、「クロスボーダーな不動産取り引きを実現する物件・顧客管理システムの開発秘話 ~グローバルなメンバーで構成される開発プロジェクトの裏側をご紹介~」と題するセッションの模様をお伝えする。世界中にネットワークを持つ不動産会社であるリストが、いかにして「Listグループ不動産システム」を構築したのか、その開発秘話が語られた。

リストのセッション「クロスボーダーな不動産取り引きを実現する物件・顧客管理システムの開発秘話」
リストのセッション「クロスボーダーな不動産取り引きを実現する物件・顧客管理システムの開発秘話」

 国内外を結ぶ世界規模の不動産ネットワークを持つ「サザビーズ インターナショナル リアルティ(R)」と提携し、クロスボーダー仲介を強みとしているリストグループは、ハワイやシンガポール、香港などアジア諸国に営業6拠点、国内10拠点を持っている。だが、以前は国々で文化が異なるため、「国外からの報告が分かりにくく、正確な情報が出てこない」という課題を抱えていたと、同社の情報システム部 IT Managerの松村知幸氏は話す。

 具体的には報告書に記載された数値に至る経緯が不透明で、KPIを満たしているか不明確な場面が多かった。コミュニケーションという文脈でも、電話やウェブ会議では時差を配慮しなければならず、業務を理解した熟練の通訳者が欠かせないといった課題などを抱えていたという。加えて、顧客情報の書式や管理方法、物件のプロモーション方法などが国々で差異があり、同社は「営業見込みや今期の達成金額が見えてこない。限界だった」(松村氏)と当時を振り返る。

リスト 情報システム部 IT Managerの松村知幸氏
リスト 情報システム部 IT Managerの松村知幸氏

 そこでリストグループ代表の北見尚之氏から、「ITを駆使してグローバルの営業状況を管理できるようにせよ」と指示を受けた情報システム部門は、国内外で共通して使えるシステムを探したが見つからず、識者に相談したところ、自社でフルスクラッチのシステムを開発すべきだと説明されたという。

 「日本のIT業界はアウトソーシングが一般的ながらも、グローバルから見れば日本の方がまれ」と松村氏は述べ、情報システム部門によるシステム開発に着手したと振り返る。具体的には国内にプロジェクトマネージャーと数名のスタッフを用意し、要件定義から試験までを担い、香港およびシンガポールにも各チームリーダーを任命し、システムモジュールの設計・製造・試験フェーズを担ったという。

 このような背景から生まれた「Listグループ不動産システム」は、「レポート管理」「査定」「国内外へのアプローチ」「マーケティング」「販売サポート」「プロモーション管理」といった機能を備える。

 システム連携を重視するため、基幹システム部分はモジュール型として実装し、「物件管理」「eマーケティング」「CRM(顧客関係管理)」「国内外のプロジェクト管理」「グローバルWebサイト」を通じて先の機能を実現。「現時点で5つのシステムにとどまるが、最終的には12モジュールまでの実装を予定している」と、同社情報システム部 IT Lead Engineerの仙田龍之介氏は話す。

リスト 情報システム部 IT Lead Engineerの仙田龍之介氏
リスト 情報システム部 IT Lead Engineerの仙田龍之介氏

 Listグループ不動産システムは開発者の共通言語を踏まえJavaScriptを選択した。パフォーマンスを優先するため、JavaScript環境であるNode.jsと、UI構築に特化したJavaScriptフレームワークのReactをサーバーサイドで稼働させている。また、各チームの開発環境に矛盾を発生されないため、パッケージ管理ツールも活用した。

 当初はnpmを用いていたものの、高パフォーマンスと新バージョンがリリースしても更新を止めるバージョンロックを供えるyarnを採用。ウェブサーバーも当初はLAMP(Linux、Apache HTTP Server、MySQL、Perl/PHP/Python)で構築したものの、パフォーマンスを理由にNginxへ変更し、ロードバランサーでリソース割り当てを自動化している。

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使用言語や開発環境などを紹介した

 開発時の連絡はSlackとGitHubを使用。ソース更新や課題点、変更依頼などのコミュニケーションをすべてSlackに通知させ、情報の一元管理を可能にした。さらにコードの自動確認・テスト/本番環境に展開するCIツールDroneを使用し、コーディング手法の統一も図っているという。

 今後の課題としてリストグループは、「システム実装後の社内浸透が難しく、定着するまでに時間を要する。また、システムはクラウドに展開しているが、国外からのアクセスがわずかに遅く、若干の遅延が発生している」(仙田氏)ことから、さらなる検討を加えたいとしている。

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