「ネットにつながるデバイスであれば、Netflixが見られる環境を作る」ことがNetflixのミッションの1つ。対応デバイスは、テレビなどの家電、ゲーム機などのプラットフォーム、セットトップボックス(STB)など1700以上を数える。9月4日にはジュピターテレコムとの提携を発表し、2019年冬の発売を予定するセットトップボックス「J:COM LINK」で、Netflixが見られるようになることを発表した。STBへの導入は3~4年前に米国の「COMCAST」が開始しており、成功を収めたとのこと。これにより、その他の地域でも提携が進んでいるという。
Netflixによると、モバイルを使ってサービス登録する人が最も多いが、半年後の視聴デバイスはテレビが半数以上を占める結果が出ているという。Netflixでもテレビのリモコンに専用ボタンを設けるなど注力している。
リビングにシネマ体験を届ける取り組みについて語られたセッションでは、ゲストにソニーホームエンタテイメント&サウンドプロダクツ HES商品戦略室商品戦略部主幹技師の小倉敏之氏と、パナソニック アプライアンス社技術本部次世代AVアライアンス担当部長の柏木吉一郎氏が登場した。
日本は、アジア諸国で最もテレビ画面でNetflixを視聴している国になっており、ソニーとパナソニックは、Netflixの推奨テレビとして認定されている。HDR対応コンテンツを1000時間以上、4K対応コンテンツを2000時間以上提供しているNetflixでは、その画質を余すところなく表現できるテレビでの視聴に力を入れている。
Netflix デバイス・パートナーエンゲージメント部門バイス・プレジデントのロブ・カルーソ氏は「ストリーミングの画質は劣ると言われていたが、その状況は変わった」とコメントした。
ソニーの小倉氏は「テレビの進化により、高画質、高音質の視聴体験を提供してきたが、次に重要なのはどのぐらいの面積を取れるかということ。画面の面積が大きくなればなるほど没入感は増す」と今後の視聴体験について言及した。
パナソニックの柏木氏は「いかに余計なものを足さず、引かず、コンテンツクリエーターの意図を伝えるか。それが一番重要で難しいこと。その思いを持ちながら開発を続けている」と開発時における注意点を話した。
最後のセッションでは「4K HDR手描きアニメが拓く新たなテクノロジーの開発」をテーマにProduction I.GでNetflixオリジナルアニメ「Sol Levante」の監督と演出を務める齋藤瑛氏が登場した。
Netflix クリエイティブ・テクノロジーエンジニアの宮川遙氏は、地上波のテレビシリーズが1280✕720ピクセルで作られることが多いとした上で、4Kはその8倍の大きさにあたると解像度の違いを説明した。またダイナミックレンジが広くなるHDRについても、色の表現力を上がるとし、4K HDRは「大きなキャンバスにたくさんのクレヨンを使って作れる」と表現した。
4K HDRで作品制作を進めている齋藤氏は、2012年頃から、4K制作の研究を開始していたとのこと。実際に4K HDR環境での制作を進めている現状を「今までは、一定以上の明るさにすると色が白になり、エメラルドグリーンを表現したくても水色になる。表現を諦めるのが当たり前だった。4K HDRではニュアンスで引いた線も色合いもすべて表現され、何も制限がない。想像という翼に動力を与えられた感じ」と表現。日本におけるアニメ制作については「日本人だからこそできるデザイン、作れる動きがあると確信している」とコメントした。Sol Levanteは2019年内に配信を開始。メイキング映像を公開している。。
制作環境については「準備はしていたが、機材とソフトの組み合わせで試行錯誤した。ケーブル1本で色が変わるなど、トラブルを繰り返した。今はモニターの選択肢も増え、機材が追いついてきたため、問題はなくなるだろうと思っている」とした。
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