NTTドコモは9月2日、工場自動化など産業向けユースケースへの5G技術の活用を検討するグローバルなアライアンス「5G-ACIA」(5G Alliance for Connected Industries and Automation)に加入したと発表した。
5G-ACIAは2018年4月に発足し、世界各国の通信業界および、製造業界から約50社が参加している。工場自動化をはじめとする5G技術を活用した産業向けユースケースで必要とされる遅延や、通信速度などの要求条件、一般利用者が接続するネットワークと産業向けに特化されたネットワークをどのように連携するかなどを検討しており、これまでにも複数のホワイトペーパーを公開している。
ドコモは、これまでさまざまな産業のパートナー企業とともに、5Gの技術規格に沿った5G無線伝送の検証だけでなく、都市部や地方、屋内外などのさまざまな利用環境において、アプリケーションにより異なる「安定した通信速度」「低遅延」「ネットワーク設置の簡易性」などの産業利用に特化した要求条件を考慮した、さまざまな5Gの実証実験を実施している。
特に工場の自動化においては、一定速度での処理が求められる精密機器間を無線通信で制御するため、「ゆらぎのない安定した低遅延」など厳しい要求条件を想定。移動通信システムの規格を策定する国際標準化団体の3GPPにおいても、それらを想定した5Gの技術拡張が検討されており、同社は「高い技術力と先進的な知見をもとに本検討をリードしている」と説明する。
今後は、5G-ACIAや3GPPでの活動を通じ、製造現場をはじめとするさまざまな環境におけるユースケースで最適なネットワーク環境を実現できるよう研究開発を推進していくとしている。
ドコモでは同日、5Gを活用した製造現場の高度化に向け、ファクトリーオートメーションとロボットの大手サプライヤーであるファナック、日立製作所と共同検討を開始することに合意したことも発表した。
3社は、工場・プラント内の完全無線通信化を目指し、第1弾として、ファナックの本社工場(山梨県忍野村)および、日立製作所 大みか事業所(茨城県日立市)の製造現場で5Gの電波伝搬測定と伝送実験を開始。工場やプラントでの生産制御システムに必要な高信頼ネットワークにおける5G活用を検証するとしている。
また、ファナックの自社工場では、産業機器(CNC装置、ロボット、工作機械、センサーなど)との5G接続および、無線制御の検証。日立製作所の大みか事業所内では、制御ネットワークへの適用性検討や高精細映像のリアルタイム共有などによる遠隔保守作業支援の検証を実施する。
ファナックでは、製造業向けオープンプラットフォームである「FIELD system」において、製造現場で使用される各種機器をネットワークで接続し、それらから生み出されるデータを賢く処理、活用することで、スマートファクトリーの実現を推進。スマートファクトリー化に向けた自動化工場で5G活用の可能性を検討するとともに、自社工場内においても5Gの活用を検討する予定だという。
日立製作所 大みか事業所では、工場・プラントの自動化や作業者支援への無線技術の応用などにも取り組むほか、推進する多品種少量生産に対応した生産改革、IoTやデジタル化のノウハウ・知見を「Lumada」としてソリューション化し、さまざまなパートナーや顧客との協創を進めている。今後は、工場・プラント向けに適した5G対応ソリューションや無線網構築サービスを検討する予定だという。
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