logo

日産がゴルフボールに込めた安全への思い--自動運転技術をエンタメ動画でわかりやすく

加納恵 (編集部)2019年08月31日 10時00分
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 日産自動車(日産)が公開したゴルフボールが話題だ。パターを振りボールに当てるだけで、確実に走ってカップインする。ゴルフ経験者でなくとも「やってみたい」と思わせる動画が8月22日に公開された。

確実に走ってカップインするゴルフボール
確実に走ってカップインするゴルフボール

 これは、ナビゲーションシステムで目的地を設定し、高速道路の本線に合流するとナビ連動ルート走行を開始する「プロパイロット2.0」の技術を、わかりやすく伝えるために日産が作ったもの。残念ながら販売する予定はない。

 「SNSを使って情報を発信していく中で、心がけているのが日産の技術に興味がない人に、伝えるにはどうしたらいいか、ということ。それを実践するために身近なものに置き換えたり、わかりやすく伝えられる方法を常日頃から探している。今回のゴルフボールもそうした取り組みの1つ」と、日産自動車 日本マーケティング本部ブランド&メディア戦略部の松村眞依子氏は、開発のきっかけを話す。

日産自動車 日本マーケティング本部ブランド&メディア戦略部の松村眞依子氏
日産自動車 日本マーケティング本部ブランド&メディア戦略部の松村眞依子氏

 日産が「自動運転の技術をわかりやすく伝える」ために用意したのは、今回のゴルフボールで4弾目。会議室に置かれている複数の椅子が自動で整列するオフィスチェアをはじめ、行列を自動で進むイス「プロパイロットチェア」、スイッチひとつで玄関先のスリッパなどが整列する「ProPILOT Park RYOKAN」を、公開済みだ。

 いずれも、自動運転に関連する技術に着想を得て、身近なイスやスリッパに置き換えていることが特徴。動画を公開するほか、実物を見て、体験できるスペースを日産自動車本社内などに期間限定で展示している。

 「メンバー内で何度かディスカッションしていく中で、ナビで目的地を設定すると、高速道路の出口まで確実にたどり着く、プロパイロット2.0のドライブアシスト技術が、ゴルフのパターでカップインする形に一番表現としてわかりやすいのではないかと。具体的に次に何をやろうかと決めているわけではなく、車に興味のない人にも興味を持ってもらえるようなものを取り上げるようにしている」(松村氏)という。

 8月29日から9月1日までの4日間は、神奈川県横浜市の日産グローバル本社ギャラリーで体験会を実施。約10メートルほどのコースを作成し、一般来場者向けに公開した。コースの上部にカメラを取り付け、センシングしてボールの現在地を特定。コンピューターがグリーン内のルートを計算し、経路は無線で指示され、ボールは自動で「カップ(目的地)」に自走する仕組みだ。

日産グローバル本社ギャラリーに設けられた体験会コーナー
日産グローバル本社ギャラリーに設けられた体験会コーナー
コースの上部にカメラが取り付けられている
コースの上部にカメラが取り付けられている
バックステージに用意されたコンピューターがグリーン内のルートを計算し、経路は無線で指示している
バックステージに用意されたコンピューターがグリーン内のルートを計算し、経路は無線で指示している

 スタート時のほか、コースの途中に3つのポイントを用意し、ゴルフボールはそのポイントを通過しながらルートを自走してカップにたどり着く仕組み。大回り、真ん中、少し戻ってから進むものと大きく3つのコースを用意している。ゴルフボールの中には、センサー、モーター、コンパスなどが内蔵されており、いわゆるボール型ロボット。そのため動きがカクカクとしてしまい、ゴルフボールのようになめらかな曲線を表現することに苦労したという。

 実際のプロパイロット2.0の仕組みとは異なり、あくまで着想を得て作っているとのこと。ゴルフボールが設定されたルートを自走することと、目的地の高速道路の出口まで確実にたどり着くドライブアシストを重ね合わせている。

 「動画の公開とともに、想像以上に問い合わせをいただいている状況。約10メートルの距離でのカップインは通常はできないことなので、体験いただけると純粋に楽しい感じていただける。お子様でも楽しめる内容のため、未来のドライバーに興味を持ってもらえるという意味でもうれしい。プロパイロット2.0は、9月に発売する『スカイライン』に搭載されるが『スカイラインにも試乗してみたい』という声もいただいた」(松村氏)と、反応は上々だ。

体験会期間は子供の参加者も多かったという
体験会期間は子供の参加者も多かったという

 松村氏は、公式SNSの運営を担っており、カップまで確実に走ってカップインするゴルフボールは、SNS戦略の一つとして公開したもの。Twitter上では、スイカ割りのスイカが自走して、自ら棒にあたる位置へと移動する「自動運転スイカ割り」の動画も公開している。「エンタメに振った内容で、プロパイロット2.0の実際のシステムとは異なるが、こうしたコンテンツをきっかけに、自動運転について知ってもらえれば」(松村氏)と、高度な技術の理解を深めるために手を尽くす。

 こうした取り組みの甲斐もあり、インスタグラムは2018年の5万人から現在10万人へと倍増、facebookは80万人、Twitterは26万人超とフォロワーの数は順調に伸びているという。

 「車に興味のない人にも技術をわかりやすく伝えたい、というのが取り組みの原点。一方で自動運転に対して正しい理解を得たいという思いもある。自動運転と聞くと、危ない、怖いという感じられる方がいることも事実。しかし実際に体験してみると『自分で運転するよりも安全だった』『安全なドライブが楽しめた』という声をいただける。エンタメ性の高い動画の中に、自動運転を感じてもらうことで、正しい知識を広め、安全な自動運転で事故のないカーライフを楽しんでもらいたい」と松村氏は話す。ゴルフボールが確実にカップインする、夢のような動画の裏側には、安全への思いが込められている。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]