英国のテクノロジー分野に対する国外からの投資額が、2019年1〜7月の期間で67億ドル(約7000億円)に達した。この金額は、2018年の1年間で同分野に集まった外国資本の総額を上回り、過去最高水準に達しているという。
Tech Nationによると、2019年における投資額の大半は、Amazonやソフトバンクをはじめとする米国とアジアの投資家によるもので、この2社は英国のテクノロジー新興企業に対する二大投資家となった。
Tech Nationは英政府が一部出資している取り組みで、2017年にTheresa May前首相が発表した。
2019年1〜7月の期間で英国最大の投資案件となったのは、ソフトバンクによるGreensillへの8億ドル(約880億円)の出資だった。Greensillは、世界中の企業にサプライチェーンファイナンスを提供している企業だ。
投資額が2番目に多い案件はAmazonの主導によるもので、5月に英国でフードデリバリーサービスを手がけるDeliverooに5億7500万ドル(約630億円)を出資した。
投資額第3位の案件は、8月に入って実施されたBabylon Healthによる5億5000万ドル(約586億円)の調達だ。Babylon Healthは、人工知能(AI)と医療専門家を組み合わせた遠隔医療サービスを専門に手がけている。
新たに1億〜4億ドル(約105億~約420億円)の支援を受けた英企業は、OakNorth Bank、OVO Energy、Checkout.com、WorldRemit、Monzo、Wejoだ。
三菱商事は2月、ドイツ、フランス、スペイン、オーストラリアでの事業拡大に役立てるため、2億ドル(約210億円)でOVO Energyの株式の20%を取得した。OVOはソフトウェアへの投資を増やして、住宅所有者が光熱費を減らせるよう支援したいと考えている。
Tech Nationによると、テクノロジー部門全体では英国内外の投資家から1カ月あたり平均約10億ドル(約1050億円)の出資を受けているという。
英デジタル・文化・メディア・スポーツ大臣のNicky Morgan氏は、次のように述べている。「英国が欧州連合(EU)を離脱し、世界中で通商関係を拡大する中で、規模も重要性も世界最高水準にある2つのテクノロジー市場からの関心が高まっていることも、わが国の将来を楽観視すべき理由となる」
英国のテクノロジー部門に対する国外からの出資増加は明るいニュースだが、同部門は依然として輸出をEUに大きく依存している。英政府は貿易に関する合意の有無に関わらず、10月31日にEUを離脱するとしている。
英政府はまた、EUが合意内容の変更を受け入れなければ、EUを離脱したその日に労働者の自由な移動を終わらせ、技能に基づく移民政策を導入すると先ごろ明言した。
IT業界団体のCompTIAが8月21日に発表したプレスリリースの数字を見ると、英国でIT職の求人広告数がこの数カ月で減少している。
英国の雇用者らは2019年第2四半期に14万1395件のIT職の求人広告を出したが、件数は第1四半期より13%、24万2444件のIT職の求人広告が出ていた前年同期より40%減少している。
「これは活況だった1年前に比べて、2019年の英国の雇用市場でのすべての求人広告数が減少傾向にあることを反映している」と、CompTIAでリサーチとマーケットインテリジェンス担当シニアディレクターを務めるAmy Carrado氏は述べた。
第2四半期にIT職の求人広告を多く出したのは、英国民保健サービス(NHS)やAmazon、British Sky Broadcasting Group、GCI Group、Square One Groupなど。
求人広告数は減少しているが、3~5月の英国の失業率は3.8%で、1974年第4四半期以来最も低い数字となった。失業率がこれほど低いことを考えると、企業は国外の労働者を求めている可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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