グーグル、広告とプライバシーの両立を目指す「Privacy Sandbox」を提案

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 矢倉美登里 吉武稔夫 湯本牧子 (ガリレオ)2019年08月23日 10時58分

 Googleの「Chrome」チームは米国時間8月22日、広告ターゲティングとプライバシーの両面で最高のものを提供するための取り組み「Privacy Sandbox」を提案した。パブリッシャーはユーザーの関心事に合わせてターゲティングできるが、ユーザーのプライバシーは侵害しない広告を目指す。

各社ブラウザーのロゴ
提供:Stephen Shankland/CNET

 ブラウザーにはすでに、マルウェアを閉じこめ、被害の可能性を低減するように設計されたセキュリティサンドボックスが搭載されている。Googleが公開した提案の詳細によると、Privacy Sandboxは、トラッキング技術を同様に制限するという。

 セキュリティ問題に力を注ぐChromeエンジニアリング担当ディレクターのJustin Schuh氏は、Privacy Sandboxについてブログで次のように述べている。「パーソナライゼーションのためのセキュアな環境であると同時に、ユーザーのプライバシーも保護してくれる」「われわれの目標は、プライバシーに関するユーザーの期待にもっと沿った標準を設けることだ」

 Chromeでは、個人を特定できる情報をブラウザーの外に出すことなく、共通の関心を持つ多くの人々に広告を配信するために、「差分プライバシー」や「フェデレーションラーニング」と呼ばれる技術を利用する。

 Googleの研究者らが数カ月にわたって取り組んできた成果であるPrivacy Sandboxは、これがうまく機能してウェブサイトや広告主に受け入れられれば、Googleがプライバシーをめぐる苦境から脱するのに役立ちうる大きな一歩となる。

 グーグルの提案は、個人情報やID情報を流出させている既存の経路を閉鎖する仕組みをいくつか備えている。

  • Federated Learning of Cohorts(FLoC)と呼ばれる考え方は、ブラウザー内の機械学習ソフトウェアを利用して、人々の関心を評価する。この情報は、大勢の人を反映している場合にのみ広告主と共有できるため、広告主は各ユーザーの個人情報を把握しなくても広告をターゲティングできる。
  • トラストトークンを利用すると、広告主やパブリッシャーはウェブユーザーを信頼できるか信頼できないかの2種類に分類して、広告詐欺を削減できる。
  • コンバージョン測定技術は、広告で表示された製品をユーザーが購入するなど、成果につながっている広告はどれかを広告主が把握できるものだ。これは、ユーザーがあるサイトで広告を目にし、別のサイトで製品を購入する可能性があることを考えると特に複雑な技術だが、Googleは、もっと単純明快なケースでも同社の提案には弱点があることを認めている。したがって、コンバージョン測定技術は、「プライバシーを保護する方法によって、ウェブプラットフォームで有効な広告ユースケースを再現する」のに必要な多くの取り組みの1つになる可能性が高い。
  • プライバシー予算」は、ウェブサイトがアクセスできる個人情報の量を制限するもので、フィンガープリンティングを阻止する取り組みの一環だ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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