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ライフイズテック、日本発のディズニープログラミング教材を米国に“逆輸入”

藤井涼 (編集部) 飯塚 直2019年08月26日 09時00分
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 中高生向けのプログラミングスクールを運営するライフイズテックは8月26日、米ウォルト・ディズニー・カンパニーとライセンス契約したことを発表した。2018年にウォルト・ディズニー・ジャパンと共同開発したプログラミング学習教材「テクノロジア魔法学校」を、8月から米国でも展開する。

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ライフイズテック代表取締役CEOの水野雄介氏(右)と同社執行役員 兼 グローバル事業部長で、米子会社のCEOに就任した宮川聡氏(左)。二人は中高の同級生だ

 同社は、テクノロジア魔法学校の北米版である「Codeillusion(コードイリュージョン)」を開発し、8月23日から米国アナハイムで開催されているディズニー公式ファンイベント「D23」で発表。同日より、全米で販売およびサービスを開始した。また、米国市場向けの事業展開にともない、米子会社である「Life is Tech USA」を設立。執行役員 兼 グローバル事業部長である宮川聡氏がCEOに就いた。

 スクウェア・エニックスの「キングダム ハーツ」や、LINEの「ディズニーツムツム」など、日本の大手企業とディズニーが開発したゲーム作品が米国にも“逆輸入”されるケースはあるが、日本のスタートアップ企業、それもプログラミング教材では異例だ。

ディズニーの公式イベント「D23」で発表された
ディズニーの公式イベント「D23」で発表された

日本版は「想定の5倍以上売れている」

 テクノロジア魔法学校は、“プログラミングは現代の魔法である”をテーマに、ディズニーの世界観を楽しみながらプログラミングやクリエイティビティをオンラインで学ぶことのできる教材で、2018年4月に日本で販売を開始した。

 魔法学校を舞台にしたオリジナルメインストーリーと、「塔の上のラプンツェル」「アラジン」「美女と野獣」「アナと雪の女王」などディズニー作品をテーマにしたレッスンによって、ロールプレイングゲームのように冒険しながらプログラミングを学ぶことができる。キャラクターが会話形式で学習すべきことをナビゲートしてくれるほか、レクチャー部分は図解でわかりやすく紹介。さらに、クイズ形式で理解度を確認する。

2018年の「テクノロジア魔法学校」の発表会の模様
2018年の「テクノロジア魔法学校」発表会の模様
レッスン画面のイメージ (C)Disney
レッスン画面のイメージ (C)Disney

 また、ストーリーと連動したリアルな本であるスタートキット「魔法の本」を同梱し、オフラインとオンラインで学びを促進。物語を進めていくための地図や封筒などのさまざまなアイテムが入っており、魔法の本に仕掛けられた謎を解くことでオンライン上の物語も進行する。メインレッスンをクリアするごとに、オリジナルのポストカードが自宅に届くことも特徴だ。

 「JavaScript」「HTML」「CSS」といった幅広いプログラミング言語を軸に、メディアアート、ゲーム制作、ウェブデザインの3つのコースを総合的に学習できるクロスカテゴリ学習を採用。基礎編40時間、応用編60時間、計100時間分の学習コンテンツを用意し、週1回2時間の学習で1年間学ぶことが可能だ。教材を学ぶことで、横スクロールゲームや瓦割りゲーム、写真アルバムなど、さまざまなコンテンツを作れるようになるという。

 ライフイズテック代表取締役CEOの水野雄介氏によれば、テクノロジア魔法学校の料金は税別12万8000円(分割で月額4600円から)と決して安くはないが、発売以降「想定の5倍くらい売れている」と手ごたえを語る。利用者の年齢層が、10代30%、20代30%、30代25%と幅広いことも、老若男女に親しまれているディズニーというコンテンツならではの特徴だという。

 また、当初は「ディズニー好き」という理由で教材を使い始めた人も、楽しみながら学ぶうちにプログラミングスキルが身につき、自身のウェブサイトに反映したり、ゲームを作ってみたりと、教材以外のシーンでもそのスキルを活用し始めているという。「何となく楽しそうだからという気軽な気持ちでスポーツを始めて、そこからプロを目指す人がいるのに近いかもしれない」(宮川氏)。

 学校や自治体などにも採用されているという。たとえば、2018年には茨城県が中高生向けに実施した「プログラミング・エキスパート育成事業」向けに、テクノロジア魔法学校を利用した自宅学習やメンターによる個別指導、合宿型プログラミング講座を実施。

 さらに、2019年6月には、クラーク記念国際高等学校と提携し、大阪梅田キャンパスの全日型通学コースに新設された「プログラミングコース」に、テクノロジア魔法学校の提供を開始した。今後も個人向けと並行して教育機関への導入も進めていきたい考えだという。

クラーク記念国際高等学校での授業の様子 (C)Disney
クラーク記念国際高等学校での授業の様子 (C)Disney

米国での教育格差を無くしたい

 そして、8月23日にはテクノロジア魔法学校の北米版であるCodeillusionを全米で発売した。基本的には日本のサービスを翻訳した内容となっており、ストーリーと連動したリアルな本である「魔法の本」も米国展開にあわせて英語化した。

「Codeillusion(コードイリュージョン)」
「Codeillusion(コードイリュージョン)」(C)Disney
「魔法の本」も英語化。米国は国土が広いため、日本版では郵送するポストカードは同梱し、レッスンをクリアすると封筒を開ける方法に変えた
「魔法の本」も英語化。米国は国土が広いため、日本版では郵送するポストカードは同梱し、レッスンをクリアすると封筒を開ける方法に変えた (C)Disney

 7月に米国のロサンゼルスで開催されたアニメエキスポで一足早くCodeillusionを展示したところ、多くの来場者が集まり、中には作中のキャラクターのコスプレをして参加した人もいたそうだ。「ロサンゼルスという土地柄、コンピューターサイエンスに興味のある人が多いためか、想定を超える来場者に体験してもらうことができた」と宮川氏は振り返る。

 実は同社は過去に米国進出を計画していた。テクノロジア魔法学校のベースとなった同社のオンライン学習システム「MOZER」を米国でも展開するために、2016年からテキサス州の中学校などでトライアル提供していたのだ。そのタイミングとテクノロジア魔法学校の開発時期がかぶったため米国展開は止まっていたが、Codeillusionのリリースによって、形を変えて米国での挑戦を再開することとなる。

オンライン学習システム「MOZER」
オンライン学習システム「MOZER」

 ただし、テクノロジア魔法学校の米国展開を足がかりに、改めてMOZERの米国展開も狙っていきたいと宮川氏は話す。同氏は、幼少期と大学時代を米国で過ごした経験を持っており、米国における教育格差を目の当たりにしてきたという。無料でプログラミングを学べるMOZERによって、所得や地域による教育の格差を埋めていきたいと意気込む。

 「米国では住んでいるエリア、それこそ道路を1本隔てただけで受けられる教育の質が大きく変わる。多くの方にCodeillusionを届けていき、ゆくゆくはMOZERを米国でも広げていきたい」(宮川氏)。

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