ロシアで国から支援されているとみられる精鋭ハッキング集団の1つが、企業ネットワークへの侵入手段としてIoTデバイスを攻撃しているという。そこを入口とし、さらに価値が高い他の標的にアクセスするのが目的とみられる。
Microsoftのサイバーセキュリティ部門の1つであるMicrosoft Threat Intelligence Centerは、顧客の環境で複数回の攻撃が観測されてきたと述べた。
これらの攻撃を実行した集団について、Microsoftは「Strontium」と呼んでいるが、一般には「APT28」や「Fancy Bear」という名称でも知られている。
この集団は2016年の米民主党全国委員会(DNC)へのハッキングに関与し、米当局が2018年に提出した訴状によると、ロシアの諜報機関である連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の26165部隊および74455部隊と特定されたという。
Microsoftは、同社スタッフが2019年4月、Strontiumが「複数の顧客の拠点において一般的なIoTデバイスへの侵入」を試みているのを発見したと述べた。
同社によると、StrontiumはVoIP電話、オフィス用プリンター、動画デコーダーの悪用を試みたという。
ハッカーらは、侵入に成功したIoTデバイスを標的の社内ネットワークへの入口として使い、ネットワーク内で他の脆弱なシステムをスキャンして不正アクセスの範囲を拡大すると、Microsoftは述べた。
Microsoftによると、同社はこれらの攻撃を初期段階で見つけてブロックしたため、調査担当者らはStrontiumが侵入したネットワークから何を盗もうと試みたのかを特定できなかったという。
StrontiumによるIoTデバイスへの攻撃が明らかになったのは、今回が初めてではない。2018年5月には、同じ集団がマルウェア「VPNFilter」を使い、50万台もの家庭用ルーターをボットネット化していたと報じられた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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