確かにそういう声をよく聞きますが、私自身は、ネットリテラシーがむしろ高い業界だと思っています。賃貸物件のほとんどは不動産のポータルサイトに掲載されていますよね。部屋探しは今やネットと切り離せない状況にあります。飲食店でもすべての店舗がグルメサイトに掲載されてはいませんし、ここまでネットが普及している業界はそれほど多くありません。その理由は、ネットに掲載されていなければ、選んでもらえないから。そういう意味からも店舗経営においてもネットが浸透している業界だと思っています。
この動きは、IT重説と電子契約サービスにおいても追い風です。本格的に開始すれば、一気に普及する可能性があると見ています。なぜなら、対応していないと不動産仲介会社として成り立たなくなるからです。
街に2つの不動産仲介会社があって、1店舗はクラウドサインを導入していて、もう1店舗が導入していなければ、お客様のほとんどはクラウドサインの導入店を選ぶと思います。そういう時代になってくると確信しています。すでに、SNS上でも「クラウドサインを使ったら、仕事の負担が減った」「クラウドサインを使ってほしい」という声をあげていただいます。
――紙という実体があるものからクラウドに切り替わることで、お客様の不安はありませんか。今回の社会実験では、紙と電子契約の両方を体験してもらい、お客様にどちらが便利だったかというアンケートをとります。同様の電子契約サービスもすでにリリースされていますが、弁護士ドットコムの創業者はもちろん、私も含め、弁護士資格をもった人間が関わっているため、日本の法規制に完全に対応していること、すでに大手企業に複数導入されている実績、国交省が定める電子署名とタイムスタンプという仕組みをクリアしている点などから、クラウドサインは信頼性を備えた、最先端のサービスであることが裏打ちされていると思います。
この業界で先行している分、機能も豊富ですし、月額固定費1万円から使えるリーズナブルな料金体系を採用しています。機能については、お客様の声を聞いて開発しているため、ほしい機能をすぐに実装できるスピードには自信があります。
これは、社内にカスタマーサクセスチームを設置しているからこそできることなのですが、サービスサイト上にチャットを設置し、お客様からのご相談にリアルタイムで回答しているほか、チャットでは質問しづらいような案件は、キーワードを打ち込んでいただくと関連するQ&Aが表示されるなど、お客様ご自身でも探しやすい環境を整えました。
加えて、2カ月に1度はお客様を対象にしたコミュニティ会を実施しています。これは、私たち社員とお客様をつなげる意味もありますが、ユーザー同士をご紹介する意味も込めていて、使ってみた気づきや新しい機能を発見してもらうためにも開いています。そうしたところから、ほしい機能や要望を頂いています。常にお客様の声を聞くことで、より使いやすいサービスに仕上げていけますし、そのために開発チームの人員も充実させています。
――ユーザーの声を多く取り入れた、スピード感ある開発体制がクラウドサインの強みですか。そうですね。あとはデファクトスタンダードになること。周りの人にどうやって使っていいのか聞いてわかるようになっていないと、せっかく導入したけれど使えないということにもなってしまうので、そこまでの普及度を保つことは大事ですね。
――今回の社会実験でも利用者の声が集まりそうですね。そう期待しています。それを参考にしてサービスをブラッシュアップさせていきます。IT化すればすべてが便利になるわけではなくて、使いにくい部分はお客様の声を参考にすることで、改善していきます。今日使ってみてだめだったとしても、明日作り直せばいいので、そういうスピード感をもって、機能を拡張していきたいと思っています。
――不動産業界以外の導入事例も多いですが、不動産業界ならではの特徴というのは。賃貸入居者という一般消費者の方に使っていただける点が一番大きな違いですね。そのほかの業界では、会社同士の契約時など、業務用として使っていただくケースが多いです。使っていただくことで、一般消費者の生活も変えられるものだと思っていますから、そういう意味でも導入事例を伸ばして行きたいです。
――IT重説と電子契約サービスの今後について教えて下さい。実際は5~10年かけて普及していくものだと思っています。クラウドサインを使うことで、不動産仲介会社の方は、入居者により良い引っ越し体験を提供できますから、お客様の声に応えて、向き合って行っていただければ、必然的に契約の件数は伸びると思います。
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