シャープは8月1日、2020年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年同期比3.5%減の5149億円、営業利益は同41.1%減の146億円と、前年を下回った。中国、欧州でのテレビ販売需要減速など厳しい環境が続いているが、営業利益率、最終利益率は第4四半期を上回っており、11四半期連続で最終黒字となったことを強調した。
経常利益は同34.5%減の139億円、四半期純利益は同34.7%減の125億円となったが、シャープ 代表取締役兼副社長執行役員の野村勝明氏は「体質改善が進み、11四半期連続での最終黒字となった。2018年度第4四半期を底に回復基調にある」と現状を説明した。
シャープでは、2019年度第1四半期から、事業セグメントを「スマートライフ」「8Kエコシステム」「ICT」の3つへと変更。3つの事業グループを連携させ、事業改革を進め、「8K+5G Ecosystem」「AIoT World」の実現を目指している。
セグメント別では、スマートライフの売上高が同11.1%減の1806億円、営業利益が同11.4%増の62億円。国内外でエアコン、冷蔵庫、洗濯機が伸長するなど、白物家電が好調に推移したものの、カメラモジュール、センサーモジュールなどが販売減少したという。
8Kエコシステムは、売上高が同9.8%減の2625億円、営業利益が同53.6%減の65億円となった。PCやタブレット向けパネルが伸長したものの、スマートフォン向けパネルが減少したほか、中国市場におけるテレビ販売が前年同期を下回った。
ICTは、売上高が同69.5%増の965億円、営業利益が同0.1%増の73億円。通信事業は販売減少の影響を受けたが、ダイナブックが黒字を継続し、増益に結びついたという。
シャープでは、1月と6月の2回に分けて、手元資金を活用し、A種種類株式の全数取得、償却を実施。資本の質も着実に向上しているという。同日には、ベトナムにおける新会社「SHARP Manufacturing Vietnam」の設立も発表。空気清浄機、液晶ディスプレイ、電子デバイス等の設計・製造を担い、ASEAN地域における事業拡大推進の核と位置づける。
野村氏は「2016年度の第3四半期以来、最終黒字を継続し、自己資金は増加。安定的な利益創出により自己資本の積み上げをしている。第2四半期以降も着実に業績伸長に取り組み、財務体質改善や向上を進めていく」とコメントした。
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