Fordは米国時間7月30日、モバイルロボティクスやモデリング、シミュレーションに重点的に取り組んでいる企業Quantum Signalを買収すると発表した。同社のシミュレーションとアルゴリズム開発のノウハウを、自社の自律走行車の構想に利用するという。
Quantum Signalはミシガン州サリーンを拠点とする創業20年の企業。同社のモバイルロボティクスや自律走行車用モデリング/シミュレーションツール「ANVEL」は、米軍のプログラムなどに利用されている。
Quantum Signalの買収に先立って、Fordは機械学習(ML)に重点を置くイスラエル企業SAIPSを3年前に買収した。また、Volkswagen(VW)と共に自動運転技術企業Argo AIにも出資している。
Quantum SignalはANVELについて、以下のように説明している。
Autonomous Navigation Virtual Environment Laboratory(ANVEL)は、インタラクティブでリアルタイムのエンジニアリングが可能なモデリング/シミュレーション(M&S)用ソフトウェアツールで、インテリジェントな地上車両の研究、設計、検査、評価に役立つ。自律性や半自律性、遠隔操作、先進運転支援システム(ADAS)などの機能性を支援する。ANVELによって、ユーザーは素早く簡単にバーチャルな車両モデルの構築やそれらのモデルへのバーチャルセンサーの搭載、センシング、認知、制御アルゴリズム/コードのバーチャルシステムへの接続、スケーラブルな忠実度によるほぼ無限に多様な仮想環境でのテストの実行が可能になる。シナリオに重点を置いたスクリプティングや、実際の応用がどこであってもシステムの堅牢性を確保するうえで鍵となるパフォーマンスの「エッジケース(極端な事例)」を検討する機能を提供する。
知的財産に加えて、FordはTransportation as a Service(TaaS)や自律走行車などの新たな取り組みに生かせる才能や専門知識を持つ人材も獲得した。TeslaやUber、Alphabetなどの従来のライバルに対抗するには、Fordにはソフトウエアやアルゴリズム関連の人材が必要になるだろう。
また、FordはANVELを利用して同社車両の検査や試作を強化すると述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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