音楽ストリーミングサービスのスポティファイとチケットサービスを展開するイープラスが手を組むと7月30日に発表した。取り組むのは、音源の体験からライブ体験をシームレスにつなげること。サイト、アプリ上の機能を連携し、コンサート情報、音源配信といったそれぞれのサービスを連携する。
今回の連携では、スポティファイユーザーの音楽聴取履歴や嗜好に応じてパーソナライズされたコンサート情報をスポティファイ上で提供するほか、イープラスのアーティストページやフェス情報ページなどから、アーティストの楽曲再生を実現する。
スポティファイジャパン 代表取締役の玉木一郎氏は「日本における音楽業界の課題は3つ。1つは、ファンクラブには所属していないファンは、適切なタイミングで、コンサート情報を入手できず、高額のチケットを買わざるを得なくなる状況があること、2つめは、特定のアーティストにしか興味を持たないファンもおり、新たな音楽に触れづらいこと、3つ目は楽曲は聞くがライブにいく楽しみ方につながっていないファンがいること。この3つに楔を打たないといけないと認識している」と現状について話した。玉木氏はこれらの課題は情報を提供することで、解決できる部分もあるとしており、今回の提携に至ったと背景について触れた。
スポティファイのアーティスト情報ページ上に、コンサート情報が表示され、「チケットを探す」ボタンをタップすれば、イープラスのチケット販売サイトにリンクし、チケットの販売状況を確認。イープラス会員なら、その場で直ちにチケット購入の手続きができる。
新設された「コンサート」コーナーには、ユーザーの音楽聴取履歴に基づくおすすめコンサート情報が「おすすめ」として一覧表示され、登録時に設定した所在地の周辺で開催されるコンサート情報も世界でリスナー数が多いアーティスト順に「付近で人気」として一覧表示される。
また、海外アーティストを中心に展開していた「FANS FIRSTプログラム」を国内アーティスト向けに本格化。これは、アーティストの熱烈なファン向けプログラムで、アーティストとファンの結びつきを強め、長期的な関係を築けるようサポートしていく。
イープラス側では、アーティストページ上でスポティファイによる楽曲の再生をサポート。オンラインウェブメディア「SPICE」にも同様の機能を設ける。イープラス常務執行役員の松田勝一郎氏は「フェスアプリも提供しているが、そこでもフェスのプレイリストが聞ける。フェスの予習になるほか、開催後は余韻に浸れる。プレイリストを聞くことによって、曲は知ってもいても名前はしらないアーティスト、知らないけれど聞いてみたら素晴らしく心を揺さぶられる曲に出会えたりする。こういう出会を通じて、ステージを見に行くことにつなげたい」とコメントした。
ジャズファンという玉木氏は「発表会前に、好きなアーティストのページをみたら、東京でコンサートがあることを知った。小さなことに見えるかもしれないが、音楽を聞くことと、ライブに行く距離がかんたんに縮まると実感した」と自らの体験談を披露。適切なタイミングで情報を届けることによって、無用な高額転売などを避ける姿勢を示した。
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