ソフトバンクは10月25日、東京・芝大門で実施している、5Gを使用した映像転送の実証実験の様子を報道陣に公開した。
これは3つの5G基地局を設置した市街地の試験エリア内で、専用の5G端末を搭載した2台の車両を走行させながら、一方の車両で撮影した360度の4K映像を、もう一方の車両にリアルタイムで伝送するというもの。サーバにある映像を端末に送るのではなく、5Gのネットワークを通じ2つの端末間で映像の送受信をしている点が、従来の実証実験とは大きく異なるという。
今回の実証実験に使用する電波の周波数帯は100MHz幅の4.7GHz帯。5G向けの周波数帯としてはとりわけ高い訳ではないが、それでも障害物が多い都市部では遠くに飛びにくい帯域となる。そうした環境下でもエリア構築ができることや、移動した際に基地局が切り替わっても通信が途切れない「ハンドオーバー」の実現ができていることなどが、今回の実証実験のポイントだ。
なお基地局には64のアンテナ素子を搭載したMassive MIMO対応のアンテナを搭載。一方で端末側には8つのアンテナを備えており、送信時に4本、受信時に8本のアンテナを使用する形になるとのことだ。なおこの試験環境においては、停車時には下り約2Gbps、上り360Mbpsの通信速度を実現できるとしている。
実際に受信側の車両に乗車して映像配信の様子を確認すると、停車時はもちろんのこと、移動中に送信側、受信側いずれか一方にハンドオーバーが発生した際にも、映像が途切れることなくスムーズに再生できる様子を確認できた。
また5Gでは送信時の通信速度が高速になることから、基地局の電波がぎりぎり届くかどうかという境界線上であっても、今回の4K 360度動画のような20〜30Mbps程度の映像であれば送信が可能だという。実際今回の実証実験では、送信側のバスが境界線上に移動した時であっても、映像に遅れは生じるものの映像が配信し続けられている様子を確認できた。
ソフトバンクの関係者によると、今回の実証実験に360度の映像配信を用いたのは、5Gによる映像配信によって生産効率を上げることを考慮したためだという。具体的には、医師自身が移動しながら遠隔医療をするようなケースなどを想定しているとのことだ。
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