「Web担当者Forum」が12年の区切りで編集長交代--新旧編集長スイッチインタビュー【後編】 - (page 2)

内藤貴志 鹿野宏(カメラマン)2018年06月27日 07時00分

入社して2年で産休に

安田:ところで、Web担で3年現場をやった後に、1年2か月産休と育休を取って、復帰して約1年になるわけですが、産休を取るタイミングについては何か考えた?

四谷:30歳での転職ですからね。年齢的なものもあるし、入社して2年で産休を取ってやるって思ってました。逆に言えば、2年の間で、何かしらの形になるように仕事をしなきゃいけないと思ってがむしゃらに仕事してました。だって、仕事を優先するあまり、家庭が後回しっておかしな話でしょ。

安田:いや、それでいいのよ。

四谷:復帰後も、フルタイムで戻っているので以前に比べて圧倒的に時間が足りないです。でも、後ろ指さされてクスクス笑われるような仕事はしない、という意識でやっています……が、原稿が遅かったり、返事が遅かったりしていろんな方にご迷惑をおかけしていると思います。

安田:いい心がけなんだけど、私の考えとしては、子育てはあなたにしかできないことなので、やはりそっちを優先させてほしい。とはいえ、仕事はお手軽でいいってことじゃなくて、仕事って、この人にしかできないというものもあるんだけど、反面、誰がやっても問題ないというのもある。そこをうまく振り分けて働いてほしいし、我々もそれを意識して働くべきだと思っているの。やれること、やれないこと、やらなきゃいけないこと、やらなくてもいいことにうまく優先順位を付けて、それぞれで補い合える組織でありたいとは思います。

四谷:産休、育休を取る人だけにじゃなくて、誰に対してもそのスタンスで仕事を回していける組織にしたいですよね。

安田:それで復帰して1年経ったら、編集長をやってくれという話が来て。率直な思いは?

四谷:うわー、面倒くさいの来たーって。いまだに、天変地異が起こらないかなと心のどこかで期待していたりして。

安田:そこまで言うか(笑)。

四谷:もちろん、だって「Web担といえば安田さん」じゃないですか。読者さんだって、筆者さんだって、クライアントさんだって、社内ですらそう思っている。そのぐらいデッカイ存在なのにその後をやるって相当なプレッシャーですよ。わかります? とはいえ、引き受けたからには、私なりに皆さんに協力してもらいながらやっていきます。と言いつつ、不安と野望が行ったり来たり(笑)。

「正直、うわー面倒くさいの来たー、って思いました」
「正直、うわー面倒くさいの来たー、って思いました」

新編集長が考えるWeb担の課題は?

安田:前編ではWeb担の来歴とか、私がどういうことを考えてWeb担を作ってきたか、といったことをお話ししたんですが、逆に、四谷さんから見た今のWeb担の課題って何?

四谷:そうですね。まずは、読者が見えないこと、ですね。私たちは誰に向かって情報発信しているのかということが、ちょっと見えづらい状態だなと感じています。

安田:なるほど。

四谷:もう1つは、社内でWeb担に関わる人たちとのコミュニケーション不足かな。営業、企画編集などは、普段から接する機会も多いので今のところ問題ないですが、それ以外の社内の人とも話をする機会を作りたいです。

安田:企画編集、営業以外でWeb担に関係する組織というと、マーケティング、技術あたりかな。ほかには?

四谷:あと、書籍チームとか。せっかくインプレスっていう、コンピュータやデジタル関連の専門出版社なので、他部署の知見を引っ張り出してうまいこと化学反応させていきたいですかね。良いコンテンツや部署にとって当たり前な情報を積極的に共有していきたいです。

安田:僕のほうが社歴は長いけど、社内コミュニケーションは四谷さんのほうが100倍うまいから、そこは全然心配してない。社外とのやり取りもどんどんやったらええねん。

四谷:そうですね。失礼のない範囲で皆さんとフランクにやり取りしていきたいです。

安田:インプレスの社内もいろいろ変わっているんで、やりたいことをどんどん口に出していくといいと思うよ。特にWeb担は、長い間ずっと「いつも通り」の手順でやってきたことが多いので、これを機会に、仕事の仕方とか、目標とするビジョンの共有など、改めて擦り合わせてほしいなと思います。

四谷:読者が見えないという課題に対しては、年1回のペースで、Web担をよく知ってくれている人を集めて、もちろん編集者も交えて、グループディスカッションというか、ヒアリング調査のようなことをやりたいですね。普段どのように情報をキャッチアップしているのかとか、日々どういう生活をしているのかとか。

安田:以前、少しだけやりかけたよね。

「読者のみなさんのことを、もっともっと詳しく知りたいです」
「読者のみなさんのことを、もっともっと詳しく知りたいです」

四谷:はい。ただ、Web担というサイトをどう変えるかといった大掛かりな目的ではなく、単純に、読者を知るためにやりたいです。いろいろ考えていることはあるけれど、今は、読者に話を聞いて、社内外の人たちとコミュニケーションするなかで、しっかり固めていきたいので、まだ内緒。どうぞ楽しみにしてください。

安田:楽しみにしてるよ。では、最後に、Web担をどういうメディアにしていきたいですか? 今の思いをぜひ。

四谷:安田さんは前編で「現場で働くWeb担当者の役に立ちたい」と言っていましたが、私もまさにそれが一番のテーマなのは変わりません。ただ、Web担当者に必要な技術だけを身に付けられればそれで良しというだけではなく、あいつの話は信頼できるとか、あいつはプレゼンがうまいとか、キャリアアップするための助けになる情報も紹介していきたいと思っています。「Web担を読めば、社内での評価が上がる」と思ってもらえるようなメディアにしていきたいです。

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