米国では50を超える警察組織が、Amazon傘下のホームセキュリティ企業Ringと提携しているため、その関係をすべて把握するのは難しいかもしれない。少なくともこれまではそうだった。非営利団体Fight For the Futureがそのような情報を、顔認識などの監視技術に関する情報とともに、インタラクティブマップで1カ所にまとめた。
Fight For the Futureは米国時間7月18日、監視技術を利用している州や都市について情報を示した「Ban Facial Recognition」マップをリリースした。これには、Amazonが2018年に10億ドル(約1060億円)超で買収したRingの情報も含まれる。Ringはカメラ付きドアベルなどを開発している。
米CNETが2019年に入って実施した調査は、米国全域にわたる警察とRingの緊密な関係を示すものとなった。多くの警察署が税金を使って、Ringドアベルを無料または割引価格で提供しているという。それらのカメラによって、警察は容易にアクセスできる近隣地域の監視ネットワークを構築可能となり、当局がアプリからビデオを要求することができる状態になっている。こうした仕組みに対し、プライバシーの侵害を懸念するとの批判が挙がっている。
今回のマップには、顔認識を利用する空港、店舗、スタジアムや、運転者の免許書写真を米連邦捜査局(FBI)の顔写真データベースに提供する州のフィルターもある。
Fight for the Futureの地図が公開されるまで、Ringと提携しているすべての警察署を網羅したディレクトリはなかった。今は、この地図を開いて「Police (Local)」(地域の警察)を選択すると、各地の警察署を確認できるようになった。画面には、警察がAmazonと提携してRingのドアベルを導入している40超の都市が一覧表示される。
Fight for the Futureの副局長を務めるEvan Greer氏は声明で次のように述べている。「人々は、自分の街で顔認識による監視が行われているかどうか、そしてそれにどう対処できるかを知りたがっている。この地図の目的は、この危険な技術を地域や州のレベルで禁止に追い込むことで、人々が漠然とした不安を効果的なアクションに変えられるようにすることだ。どんなに規制しても、顔認識がもたらす脅威が解消されることはない。それは禁止されなければならない」
Fight for the Futureの地図は、行政機関による顔認識の利用が禁止されている地域を抽出する機能も備えている。現在のところ、そうした地域はカリフォルニア州のサンフランシスコとオークランド、マサチューセッツ州サマービルだけだ。
Fight for the Futureは、監視技術に歯止めをかけようとする草の根の取り組みの一環だ。同団体は、自らの地域でそうした技術の利用禁止を訴えている活動家らのために、ツールキットを備えたこの地図を作成した。
この地図は、完成にはほど遠い。警察は、利用している技術について常にオープンでいるとは限らない。Fight for the Futureはこのインタラクティブマップで、地図に追加できる新しい情報があれば送るよう訪問者に求めている。
Amazonと警察署の提携は全米に及び、地図上で見ると米国の端から端まで広がっている。警察はRingのカメラによって、これまで一度も監視カメラが設置されたことのない地域のビデオ映像を入手できるようになった。
Ringと提携している警察署の多くはこの技術の利用を推し進めており、人々にAmazonのドアベルカメラを購入して、映像を共有できる「Neighbors」アプリに登録するよう呼びかけている。
Motherboardが報じたように、Amazonは警察と緊密に協力し、偽の配送物を使ってRingと合同でおとり捜査を仕掛けたこともある。
Ringは声明の中で、顔認識技術は使用していないと述べたが、過去にそうするための特許を出願したことはあるという。
「われわれは多くの方法でこのミッションに取り組んでおり、そうした方法の中には、法執行機関と提携することで、警察が犯罪や安全に関する正式の重要な最新情報を共有し、Neighborsアプリを通じて地域社会と協力できるようにすることも含まれる」「当社は、全米各地で多くの法執行機関と提携していることを誇りに思っており、これらの提携を、ユーザーが管理できる方法で計画するよう注意を払っている」(Ring)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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