能楽協会と富士通は7月18日、ICTを活用して能楽の魅力を国内外へ発信し、新たなファンを獲得することで能楽界のさらなる発展に貢献していくことを目指し、ICT分野でパートナーシップ契約を締結したと発表した。
同パートナーシップに基づき、両社は2020年7月から9月に開催予定の「東京2020オリンピック・パラリンピック能楽祭」に向け、ICTを活用した情報発信の充実やファンデータの利活用を行う。さらに、チケット販売時の利便性向上や観客の新しい鑑賞体験を実現するICTの活用を推進する。
第一弾として、7月31日と8月4日に開催される「ESSENCE能 見どころ!ぎゅっと凝縮・能楽アンソロジー」において、ICTを活用した実証を実施する。
能の謡(台詞)の強弱、笛や鼓のリズムといった音の特徴を振動に変換してユーザーに伝達できる富士通のユーザインタフェース「Ontenna」と、舞台の演技と英語の字幕ディスプレイを視線を移すことなく同時に見ることが可能なヘッドマウント型ディスプレイ「RETISSA Display」を活用し、聴覚障がい者や訪日外国人などを含めた多様な来場者に分け隔てなく、新たな鑑賞体験を提供する。
Ontennaは、髪の毛や耳たぶ、襟元や袖口などに身に付け、リズムやパターンといった音の特徴を振動と光によってからだで感じることができるユーザインタフェース。7月31日14時から16時に行われる「バリアフリー対応」の公演で実証し、音の大きさに対してリアルタイムに振動するよう演出することで観客に高揚感を与えるなど、これまでにない能楽の鑑賞体験を提供する。
RETISSA Displayは、超小型プロジェクタを使用し、微弱なレーザ光で網膜上をスキャン(走査)することで、網膜に直接映像を投影する技術を活用したQDレーザのヘッドマウント型ディスプレイ。8月4日16時30分から18時20分に行われる「多言語対応」の公演で実証する。
両社は今後、「ESSENCE能」での実証結果を踏まえ、2020年に開催予定の「東京2020オリンピック・パラリンピック能楽祭」でのOntennaやRETISSA Displayの活用や、情報発信やチケット購入、ファン管理などでのICTの本格活用を目指す。また「東京2020オリンピック・パラリンピック能楽祭」以降も継続してICTのさらなる活用を推進するという。
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