Amazonは米国時間7月11日、米国の従業員10万人の再教育に今後数年間で7億ドル(約760億円)を投じることを約束した。この「Upskilling 2025」プログラムは、これまでに米国の企業が実施してきた中で最大規模の再教育プログラムとなる。AT&TやAccentureも同様の取り組みを進めている。
プログラムの狙いは、現在米国のAmazonで働いている従業員約30万人の3分の1が、より高度なスキルを求められるポジションや、より要求の厳しいポジションに移れるよう支援することだ。これにはデータマッピングスペシャリスト、データサイエンティスト、ビジネスアナリスト、セキュリティエンジニアが含まれる。
Upskilling 2025は、特にAmazonの倉庫のような職場で急激な変化が生じていることを示しているようだ。そうした職場では、新しいロボットやテクノロジーのために従業員の作業が日常的に変化している。複数の研究者が、高度なスキルを必要としない膨大な数の仕事は今後10年の間にロボットやオートメーションに完全に取って代わられると予想しており、Amazonはこうした新しいテクノロジーを多く導入していることに対して批判に直面している。
この取り組みはまた、米国の6月の失業率が3.7%という歴史的な低さを記録したタイミングで行われる。これによりAmazonなどの急成長している企業は、最も不可欠なポジションを埋めるための新たな方法を見出すことを余儀なくされている。すでに雇用している人材を一部で登用するというのも、その一つだ。
Amazonは、同社が倉庫の従業員をぞんざいに扱っているという絶えることのない苦情を労働組合や元従業員、権利擁護団体から引き続き受けている。15ドル(約1600円)の最低賃金と最長20週間の有給育児休暇を保証するUpskilling 2025プログラムは、同社がそういった苦情の対処に利用できる新たな報酬だ。
多くの労働組合は通常、こういった報酬を十分だと見なさず、従業員には解雇や過労に対するより良い保護策が必要だと主張する。米国のAmazonの従業員の多くは労働組合に加入していない。
Upskilling 2025の一環として、Amazonは非技術系従業員のソフトウェアエンジニアリング職への移行を支援する「Amazon Technical Academy」を開始する。別の新たなプログラム「Associate2Tech」は、フルフィルメントセンターの従業員が過去のITの経験の有無にかかわらず技術職への再教育を受けるのを支援する。
また、フルフィルメントセンターの従業員向けの学費支援プログラム「Career Choice」や、教室での集中訓練やAmazonの現場実習を有給で提供する米労働省認定のプログラム「Amazon Apprenticeship」も展開される。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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