医師が処方する治療用アプリを展開するキュア・アップは7月5日、第一生命保険、森トラスト、コシダカホールディングス、インテージホールディングスなどを引受先とする総額22億円の第三者割当増資を実施したと発表した。これまでの累計資金調達額は、約41.7億円となる。
同社が手掛ける国内初となる禁煙治療用アプリは、国内31医療機関との臨床試験を終え、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請をしており、2020年2月〜3月をめどに薬事承認・保険適応を目指している。
ニコチン依存症治療用アプリでは、患者が日々の体調や呼気の一酸化炭素濃度などの基礎情報をアプリに入力することで患者の健康状態を管理する。
心理的な依存に薬は効かない。「タバコを吸いたくなった」という訴えに対し、「どうして吸いたくなったのですか?」と質問したり、「つらいですよね」と共感、「ガムを噛みましょう、部屋の掃除をしましょう」などと具体的な行動をアドバイスすることで、アプリで心理的な依存にアプローチする。
このような医学的なエビデンスに基づいた専門的な心理療法や服薬管理、コーチング、疾患教育などをリアルタイムで自動返信する仕組みにより、院外、在宅時間の「治療空白」に対して、個人に最適化したガイダンスを提供して24時間フォローすることで、治療効果の向上が期待されている。
キュア・アップ 最高経営責任者の佐竹晃太氏は「時間や場所、人によらない標準化治療で、医療格差の改善にも寄与し、新しい治療効果をアプリで生み出せる。一つの薬を世の中に生み出すのに1000億円必要だが、アプリは10分の1未満のコストで開発できる背景がある。研究開発費は医薬品よりも安くでき、薬科もリーズナブルな価格で提供できる」とし、アプリによる治療のメリットを説明した。
キュア・アップは「アプリで治療する未来を創造する」をビジョンに掲げ、大学医学部・大学病院と共同でニコチン依存症治療用アプリの開発などに取り組んできた。
また、そうした知見を活かし民間企業の健康増進にも活用できるよう法人向け「モバイルヘルスプログラム」も開発。健康保険組合加入者などへ健康増進や健康経営の取り組みへ貢献することを目指し、禁煙支援の「ascure(アスキュア)卒煙プログラム」と特定保健指導対応の「ascure STEPS(生活習慣プログラム)」を提供している。
今回の増資により、さらに高血圧治療アプリとNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療用アプリに関しても研究を進める。また、3月に米国法人(CureApp North America)を設立しており、今後日本と並行して事業展開を進めるとしている。
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