Microsoftの関係者は2019年4月、「Windows 10」の機能アップデートをテスト中に、バージョンをスキップするという異例の動きをとった。「Windows 10 19H1」(May 2019 Update)のテストから、「20H1」ビルドのテストへと移り、「19H2」のテストを飛ばしたのだ。Microsoftは19H2について、詳細は春に発表すると述べた以外、何も明らかにしなかった。
そしてMicrosoftは米国時間7月1日、秋にメインストリームへの提供開始を予定している、19H2に関する沈黙を破った。19H2ビルドの最初のビルドとなる「Build 18362.10000」を「Slow」リングにリリースしたのだ。Microsoftは、筆者への情報提供者らが語っていたこと、つまり19H2はMay 2019 Update(バージョン1903)の累積アップデートになることをブログ記事で認めた。
Microsoftの同日付けのブログ記事によると、「19H2はSlowリングのInsidersに、フルビルドとしてではなく、累積アップデートとして提供する」。また情報提供者らが述べた通り、新機能はデフォルトで無効になっているとのこと。
Microsoftは20H1のテストを、まず「Skip Ahead」リングで開始して、次にFastリングで行ったが、関係者は何らかの機能をテストするのに大きなリードタイムが必要という以外、詳細を語るのを控えてきた。筆者は以前、Microsoftが19H2のテストを飛び越えて20H1に取りかかった理由については、いくつかの説を聞いた。テストパターンを変更したのは、「Microsoft Azure」とWindowsのエンジニアリングチームのスケジュールを調整する必要があったからだというものだ。
またMicrosoftが、Windows 10の「H2」機能アップデートを、新機能を若干追加しただけの累積アップデートのようなモデルに移行しているからだとも耳にした。情報筋からは、新機能は「20H1」のようなH1リリースから移植した一握りの機能に限定され、デフォルトで無効になっている可能性があるとも聞いた。どうやら、そうした推測が現実のものとなったようだ。
そうであれば、多くの大企業や教育機関にとって朗報となる。EnterpriseおよびEducationエディションの場合、H2リリースは30カ月間サポートされ、H2リリースを頼りにしているからだ。そして、MicrosoftがH1でメジャーアップデートを、H2でマイナーアップデートを提供するというパターンを継続するならば、今なお「Windows 7」を利用しているユーザーがWindows 10に移行するきっかけになるだろう。
筆者はMicrosoftに、Fastリングのテスターが19H2をテストする機会があるのか、また今後H2リリースは、新機能がデフォルトで無効になっている累積アップデートとなるのか尋ねたが、まだ回答は得られていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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