Mozillaは、「Android」搭載スマートフォン向け新ウェブブラウザーのパイロットテスト版「Firefox Preview」をリリースした。Mozillaによると、この新ブラウザーは高速化とプライバシー重視を図っており、2019年秋にリリースを予定している「機能満載の改良版」に先駆けてテストできるよう、このほどアーリーアダプター向けに提供を開始したという。
Mozillaは米国時間6月27日、Firefox Previewについて、「Firefox for Android」の2倍高速で、ミニマリストデザインで装い、デフォルトでトラッキングをブロックすると述べた。また、旅行計画や買い物リストなどに使うサイトをグループにして保存、整理、共有するのに役立つ機能「Collections」を備えている。
Firefox Mobile担当シニア製品マネージャーを務めるVesta Zare氏は、「速度の向上は、Firefox Previewにおいてデフォルトで有効となっている包括的なトラッキング対策機能が主な要因だ」と述べた。さらに、複数のコンピューティングタスクをこなす内部の手法やAndroidデバイスとの連携が最適化されたことも、高速化に寄与しているという。
Mozillaは、Microsoftの検索エンジン「Bing」のページ読み込み時間に基づいて測定値を出している。
Mozillaは27日、これまで数カ月にわたってAndroid向けの新たな戦略に取り組んできたとして、Firefox Previewは「Firefox Focus」のプライバシーおよびセキュリティと、モバイル版フルブラウザーの快適さを組み合わせた成果だと述べた。Firefox Focusは、ブラウズ履歴を残さずにウェブサイトを素早く見て回れるよう設計されたブラウザーだ。
Firefox Previewは、ウェブサイトの処理やレンダリングにMozillaのエンジン「GeckoView」を採用している。その狙いは、MozillaがPC向けブラウザー「Firefox Quantum」で実現させたようなパフォーマンスの向上を図ることだ。これはつまり、現在ではAppleの「Safari」やGoogleの「Chrome」で採用されているモバイルブラウザーエンジンでのテストにしか慣れていないウェブ開発者にとって、互換性の問題が生じるかもしれないことを意味する。ただし、GeckoViewの独立性によって、ウェブ標準を改善したり、AppleやGoogleによるウェブの支配を防いだりできる可能性もある。
「GeckoViewベースのFirefox for Androidを開発することで、われわれがモバイルユーザーに提供できるプライバシー機能やセキュリティ機能の種類という点で、柔軟性が高まる結果にもなる。GeckoViewにより、われわれはより高速かつ安全で、より使いやすいブラウザーを開発できる」(Mozilla)
Appleは「iPad」および「iPhone」について、自社が開発している「WebKit」以外のブラウザーエンジンを利用することを禁じている。つまり、Firefox PreviewはAppleのモバイルデバイス向けにはリリースできないということだ。
「それでも、われわれはこれらの制限を回避して、Firefox Previewの魅力的な機能を『Firefox for iOS』にもたらせるよう、あらゆる手を尽くすつもりだ」とZare氏は述べている。
アーリーアダプターは、Githubまたは電子メール(firefox-preview-feedback@mozilla.com)でフィードバックを提供できる。
なお、Firefox Previewは仮の名称だ。「成熟したら、Firefox Previewは恒久的な名称にブランド変更される予定だ」(Zare氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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