パナソニック、株主総会117分の中身--好調の家電から「何としても生き残る」車載電池まで - (page 2)

本当の最高とは、お客様の心に響くかどうか

 また、中長期的な経営の考え方について説明した。同社では、2019年度から新たな中期経営計画を開始。ポートフォリオマネジメントを実行し、利益成長と収益性改善を目指すことを示している。事業を、基幹事業、再挑戦事業、共創事業に区分し、基幹事業に位置づける空間ソリューション、現場プロセス、インダストリアルソリューションに対してリソースを集中して、ソリューション型事業の拡大を通じて利益成長を目指すことを示している。また、赤字事業への抜本的な対策などを実行する一方、固定の削減も進める方針も示しているほか、中長期的な方向性として「くらしアップデート」の実現を目指している。

 津賀社長は、「パナソニックが持続的に発展していくためには、それぞれの事業が自ら競争力を高めていくことが欠かせない。事業の状況や特性に応じた戦略を推進し、持続的な利益成長を目指す」と前置きし、それぞれの事業区分での取り組みに触れた。

 再挑戦事業である車載事業については、「成長の牽引役と位置づけ、大規模な投資を行ってきた。その結果、売上高は大きく成長したが、車載機器の開発費が大幅に増加。円筒形車載電池は生産の急拡大に向けた対応力が十分でなく、現時点では利益が低迷している。そこで、車載事業を再挑戦事業に位置づけた。強みがある地域や商品に集中して開発費を最適化。円筒形車載電池では生産性の改善を進め、これまでの投資を回収する。自動車産業は大きな変化を続けており、車載事業は、パナソニックにとって、成長が見込める分野であることは変わりがない。早急に事業を立て直し、変革が著しいこの領域で、再び挑戦ができる姿に戻す」と述べた。

再挑戦事業(車載)
再挑戦事業(車載)

 共創事業である家電事業および住宅事業では、「地域での連携やパートナーとの協業で競争力を高める。家電事業では、中長期的成長が見込まれる中国での連携を進める。日本で培ってきた信頼性や高い技術力に、中国のスピードやコスト力を組み合わせて事業を強化。日本、中国の家電事業が互いに力を高めあう仕組みを作る。ここで得られた強みは広域アジアに展開していく。住宅事業では、トヨタと街づくり事業で合弁会社を設立し、両社の住宅事業を統合する。街全体の新たな暮らしの価値を創出していく。家電、住宅事業はパナソニックブランドを支える極めて重要な事業である。今後も競争力強化を図る」と位置づけた。

共創事業(家電・住宅)
共創事業(家電・住宅)

 そして、基幹事業については、「空間ソリューション、現場プロセス、インダストリアルソリューションの3つの領域は、法人向け事業として、利益の大半を創出しており、競争力がある事業である。社会環境の変化に伴って深刻化するさまざまな課題と向き合う事業として、積極的に経営資源を集中することで、継続的に大きな成長が可能な領域である。労働人口の減少による人手不足、新興国における急激な都市化やエネルギー問題、急速な情報通信技術の発達による社会の歪みも発生している。情報通信量が増加すれば、通信網に負荷がかかったり、サイバー攻撃による安全性の問題も生まれたりする。基幹事業はさまざまな技術を駆使して、課題解決を図り、よりよい暮らしの土台を構築することになる。中長期的に利益成長を牽引していくことになる」と語った。

基幹事業(法人向け事業)
基幹事業(法人向け事業)
 そして、「パナソニックが目指すのは、『くらしアップデート』である。これまでは最高の商品を届けたいという思いで、そのときの最高の技術と機能を盛り込んだ商品を届けてきた。しかし、本当の最高とは、お客様の心に響くかどうかが重要なポイントになる。お客様の嗜好が多様化し、最高の感じ方は人によって大きく異なる。技術は絶えず進化し、ひとつの商品や機能が最高であり続けることはない。ひとときの最高の商品を追求するのではなく、買っていただいたあとも一人ひとりにあわせた機能やサービスを提供し続けることが最適なくらしを実現する。こうしたくらしが実現する社会環境の構築に貢献したい。これが、『くらしアップデート』の考え方である。最先端の技術を駆使し、お客様のくらしとつながり続け、さまざまな業界のパートナーとの共創によって、より幅広い分野でのお役立ちを実現する活動を通じて、お客様の心を満たす、理想のくらしの実現に挑戦し続ける」とした。

パナソニックの目指す方向性
パナソニックの目指す方向性

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