世界の通信会社10社以上にサイバー攻撃、中国に関与の疑い

Danny Palmer (ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部2019年06月26日 07時18分

 中国を拠点とする国家主導とみられるハッカーらが、数年間にわたって世界の通信プロバイダーを標的にサイバー攻撃を仕掛け、膨大な数のユーザーの通話データ記録や位置情報などを盗み出していたという。

 この活動によって、世界中の少なくとも10社の通信事業者が影響を受けたと考えられている。Cybereasonのセキュリティ研究者らは、2018年に顧客のネットワーク上の疑わしい動きについて調査を開始し、これを発見した。

 「誰かが実際にネットワーク内に侵入し、複数のコンピューターに次々とアクセスして認証情報を盗み、数百GBという常軌を逸しているとしか言えないほどの量のデータを抜き取っていた」と、Cybereasonの主席セキュリティ研究者であるAmit Serper氏は米ZDNetに対して述べた。

 「Operation Soft Cell」と名付けられたこのハッキング活動は、同氏の調査対象だったITインフラのあまりに広範囲にまで及んでいたため、Serper氏は「事実上この企業の影のIT部門」になっていたと表現した。ハッカーらは、独自のVPNに加えて、管理者権限を持つ少なくとも10件の異なるアカウントまで設定しており、広範囲にわたるデータにアクセスしていただけでなく、ネットワークを停止させることもできる状態だったという。

 影響を受けた標的は、欧州、アフリカ、中東、アジアで確認されており、ハッキング活動は少なくとも2017年、あるいはそれ以前から続けられていたとみられる。

 しかし、世界中の通信プロバイダーのネットワークを掌握していたにもかかわらず、ハッカーらの狙いは、研究者らが高価値ターゲットと表現する、複数の特定の個人に関する情報にアクセスすることだけに集約されていたようだ。Cybereasonが最初に調査を開始して以降、約20人がターゲットだった可能性がある人物として特定されている。

 標的となった情報は、通話相手、通話の日時と継続時間、テキスト送信の相手と日時に関連するメタデータだ。1日を通して接続する携帯端末の中継塔から、ユーザーの位置情報を割り出すことができるため、ハッカーらはメタデータを入手することによって、ユーザーを追跡することも可能だ。

 Cybereasonは、「Soft Cellの背後にいるのは国家の支援を受けたハッカーであり、そのグループは中国に関連している可能性が高い。この活動にはおそらく、中国のハッカー集団APT10が関与している」とみている。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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